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金閣寺 [文学 日本 Classic]


金閣寺 (1960年) (新潮文庫)

金閣寺 (1960年) (新潮文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1960
  • メディア: 文庫



三島由紀夫の『金閣寺』を読み終わった。三島由紀夫の代表作として取り上げられることの多い作品で、新潮文庫の「夏の100冊」等にも結構入ってくる作品だ。

が、正直、もう一歩だった。青年が金閣寺に放火するまでの、心的過程を丁寧に描き出しているのだが、丁寧すぎるというか、重厚すぎるというか、読んでいて疲れてしまった。

『仮面の告白』が完全に自叙伝かどうかはわからないが、あの本を読むと、おそらく彼は自分が性的に(女性に対して)不能であることをかなり悩んだのだと思う。男の中校時代の話題・頭の中など、性的なことが大半なので、その時代に彼が何らかの疎外感を持ったのは間違いなく、それが彼の作品に色濃く反映されているのだろうとおもう。

この『金閣寺』にも、金閣寺が、主人公と女性の性的関係を邪魔した(彼を性的関係に至らされる直前で不能した)、というようなことが書かれている。性欲というのは確かに小説のテーマとしてはよく取り上げられる作品なのだが、個人的には肉体的な性を扱った小説を読むのはあまり好きではない。

三島は(内面的に)社会の周縁に置かれた人間にスポットをあて、物語とすることが多いのだが、なんとなく描き方が、とても尖っていて温かみを感じない。その点、現代作家の小川洋子や三浦しをんなどには、周縁に置かれた人々をとても温かい目で描いており、とても安心して読める。

正直、この『金閣寺』、読んでいてかなりしんどいさくひんだった。
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