キリスト者の自由 [哲学書]
マルティン・ルター著『キリスト者の自由』を読み終わった。
カトリック教会の形式・戒律至上主義に異議を唱え、信仰こそがキリスト教の真髄だと訴えた著だ。ルターの考え方は、日本の形式的なキリスト教会に対して疑問を抱き、無教会主義を訴えた内村鑑三の「無教会主義」に近いものを感じる。
何度も述べていることだが、「キリストの教え」と「キリスト教の教え」は違う。「マルクスの考え」と「マルクス主義」の考えは違う。「釈迦の教え」と「仏教の教え」は違う。どんな団体であれ、団体を形成した時点で、何かが失われる。団体を持続しようとすると、そこに歪が生まれる。その歪を何とか残そうとするのはその団体の中で権益を握っているピラミッド構造の上層部の人間たちだ。しかしそもそも素晴らしい教えというものは、そのピラミッド構造の上層部の人間たちの心を批判するものであったはずだ。批判する主体として出発したはずのものが最終的には批判される主体となってしまうこの構造。面白くもあり、不思議な現象であり、人間の、そして人間集団の弱さを示す最も象徴的な現象なのだと思う。
この書に関する解説の類をかなり読んできたので、新鮮さは全くなかったが、やはり原書を読むという体験は素晴らしい。
2017-08-10 19:31
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