項羽と劉邦 下 [文学 日本 Classic]
遂に『項羽と劉邦』を読み終わった。下巻は、遂に項羽と劉邦の直接対決となる。そしてこの両者が相対しているあいだに、別働隊として活動していた韓信がどんどんと勝利していき、この二者を凌ぐほどの実力をつけていく様が描かれている。そしてこの巻になってようやく項羽の最愛の人虞美人が登場する。
韓信は連戦連勝で自分の領土を広げ、劉邦から王の名をもらいながらも、劉邦への忠誠心を捨てない。どんなに苦しい状況に置かれても、劉邦のもとを去らない、張良、蕭何。劉邦は自分が無能なだけに、周りに才能ある人物が集まってきたが故に天下を取れた、ということだが、その才能ある人間たちが欲が深くなく、物事を客観的に・冷静に判断し、常に自分の出来ることを精一杯行うことで彼に貢献したということがあるのではないだろうか。
結局才能ある人間が自分の利得や利益のために動き出したらすべてのバランスが崩れ出す。劉邦の周りにいた才能ある人物たちがみな、自分の持ち味を最大限に発揮しながら我欲を出さなかったことが劉邦を勝利に導いたのだと思う。
読んでいて本当に清々しい気持ちになれた。劉邦のその後の生臭い時代が描かれていないところがこの読後感をもたらしているのだろう。
とても良い作品だった。
2017-10-07 10:31
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0