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死者の奢り・飼育 [文学 日本 Classic]


死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1959/09/29
  • メディア: 文庫



大江健三郎作品を初めて読んだ。正確には、大江健三郎の小説を初めて読んだ。
岩波新書から出ているノーベル文学賞受賞時の講演を収めた『あいまいな日本の私』は読んだことがあったのだが、まったく何を言いたいかわからなかった。

この本は彼の初期の小説が収められているらしい。
読みにくい文体であることは間違いないが、読むすすめるとある程度は読めるようになってくる。
全部で6作収録されており、全て短編なので結構あっさり読めた。

彼のテーマは、戦争、弱者、傍観者といったところなのだろう。

社会のメインストリートを歩いていない人を描くという面では、小川洋子作品と若干似ているところがあるとは感じたが、小川洋子はある程度、精神的にメインであることについていけない人々の静かな日常を描いているのに対し、大江健三郎は、社会的にメインであることからはずれてしまった人が曝される暴力的状況の中で何を考え、その状況に周りがどれだけコミットしようとしないか、コミットしたとしても、一時的な自分の心を満足させるためだけの関わり方であり、所詮傍観者で無責任な立ち位置でしか関わっていない、ということを訴えている気がする。

私は、小川洋子の視点、クールな中にある優しさがとても好きで、彼女の作品を愛読しているのだが、大江作品にはあまり共感できなかった。

おそらく、彼の小説は今後読むことはないと思われる。

とはいえ、面白くないこともなかった。
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