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休戦 [文学 イタリア]


休戦 (岩波文庫)

休戦 (岩波文庫)

  • 作者: プリーモ・レーヴィ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/09/17
  • メディア: 文庫



プリーモ・レーヴィの『休戦』を読み終わった。以前『アウシュヴィッツは終わらない』という筆者のアウシュヴィッツ体験を描いた作品を読んだことがあった。過酷で悲惨な体験を、冷静に客観的に緻密に描いており、『夜と霧』と並ぶ、素晴らしい作品であり、とても考えさせられた。

数年前、同じ筆者による、この『休戦』が岩波文庫から出て、興味はありずっと読みたいと思っていたのだが、なかなかタイミングが悪く手に取ることがなかった。出版から数年経つが、品切れになることなく店頭に並んでいるので、これからも多くの人が手に取りやすい状態は続くと考えられる。

今回、仕事の関係で、この本を読むことになり、ついに手に取った。

アウシュヴィッツがロシア軍により解放された場面からはじまる。これは『アウシュヴィッツは終わらない』の最後の場面の続きに当たる場面なので、この両著を続けて読むとより深い理解が得られると思う。
はじめのうちは、やはりアウシュヴィッツの傷跡があり、かなり陰鬱な雰囲気なのだが、場所を移動しながら時を重ねていくうちに、様々な人々と出会い、主人公の心に人間的な温かみが取り戻されていく。明るい話しではないのだが、最終的に故郷に帰る、という結末が見えているせいもあるが、全体的にポジティヴな雰囲気に満たされており、とても読みやすい。

ただ解放されてからイタリアに帰るまでの話しなのだが、その土地土地で出会う人々の描写が細やかでとても面白く、小説としても良くできていると思う。

先にも書いたが、『アウシュヴィッツは終わらない』とセットで読むことをお勧めする。
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