文明論之概略 [哲学書]
福沢諭吉著『文明論之概略』を読み終わった。
岩波文庫版は『学問のすすめ』と同じく、現代語訳されていない文体なので、非常に読みづらかった。正直、英語の本を読むよりも時間がかかったし、内容理解もかなり低かった気がする。その言語にどれだけ慣れ親しんでいるかによって理解力がこれほど違うのか、と実感した。
結論は、日本は外国からの圧力に負けないような独立国になるべきだ、というものだ。
まずは、国民一人ひとりが智者となり、日本が全体として知的な国家になるべきことを説く。そして文明とはどのようなものか、ということを論じ、確かに西洋は東洋よりも進んでいるが、理想的な状態ではないことを滔々と語る。
さらに文明には智と徳があり、徳と言うことに関していえば西洋も東洋も変わらず、智という側面において西洋に追いつく努力をすべきと主張する。
最後に西洋と日本の文明化の歴史を語り、最後に、文明を掲げながら、国と国との関係を見ると、まったく平等ではない現代の世界をなげき、日本が本当の意味で西洋と平等な関係を築き、真の意味での独立を達成すべきことを主張して終わる。
文章中ところどころで、形だけを取り入れてもしょうがなく、それを内面化して形をつくっていくことの重要性を訴えている。
こうしたこともふまえ、彼が100年以上も前に訴えたことが、今でもまったく変わらず当てはまってしまうことに感動と絶望を覚える。古典を読むといつも同じ結論に至る。それが古典を古典たらしめているのであろうし、人間の愚かさを示しているのだろう。
理解が不十分な点が多く残念だったが、非常に刺激を受けた本だった。
2017-12-06 07:15
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