新エロイーズ1 [哲学 ルソー]
ルソーの小説『新エロイーズ』の第一巻を読み終わった。
漫画『ベルサイユのバラ』の中で、貴族オスカルに恋する平民アンドレが読んでいた作品で、ずっと気になって読みたかったのだが、岩波文庫はずっと絶版で、ネット中古市場にもほとんど出回っていないし、たまにブックオフなどでみつけても、どこかの巻が抜けていたりなどして手に入れることができなかったのだが、昨年、立川のブックオフで、偶然全巻揃っているのをみつけ、カバーはないものの、一冊100円、しかもとても綺麗な状態だったので、普段はカバーがないと買わないのだが、買ってしまった。
この作品、岩波は青としてジャンル分け(つまり哲学書の類)しているが、一応小説である。全てが、誰かが誰かに送った手紙というスタイルをとっており、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を彷彿とさせる。が、この作品は、お互いの手紙のやりとり、そのあいだに挟まっている人たちのやりとりも含んでおり、いろいろな角度から物事が考察されておりとても面白い。
簡単に言えば、貴族の令嬢ジュリと平民で教養ある市民の家庭教師サンプルー(仮名)の叶わぬ恋物語である。とても緊迫感があり、どんどん読み進められる。
ルソーの思想がたっぷり詰め込まれた小説であり、家の中の主人と使用人の平等、貴族の無意味性など、様々な登場人物を通した彼の理想主義が読んでいてとても心地よい。
酒で一度失敗してしまい禁酒を誓ったサンプルーに対し、恋人のジュリが「お酒は少しぐらいなら飲んでも良い」と言ったりする場面など、結構面白い。
これから物語はどんどん展開していくらしい。長い小説だが、楽しみに読みたい。
2018-04-15 07:21
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