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新エロイーズ3 [哲学 ルソー]


新エロイーズ 3 (岩波文庫 青 622-6)

新エロイーズ 3 (岩波文庫 青 622-6)

  • 作者: ルソー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1961/03/25
  • メディア: 文庫



『新エロイーズ』三巻を読み終わった。遂にジュリとサン=プルーは別れ、ジュリは別の年上男性と結婚する。そしてこの結婚を自分に納得させるために、ジュリはひたすら「神」「神聖」「義務」という言葉を用いる。
数年たち、子供も三人でき、田舎へと引越し、ジュリは恐ろしいまでに、落ち着いた結婚生活を送る。
その家庭の中に、サン=プルーがお客として招き入れられ、共同生活を送る。正直私の感覚としてはわからないが、夫が、ジュリとサン=プルーの徳や貞節を信じている(というより試している?)ということらしい。
このジュリの田舎生活はすべてが自然で、ありのままで、美しく、すべてが強制されることなく、自分の意思のまま皆が動き、主人も従者もお互いがお互いを尊重しながら生きている。まさに、理想郷のような世界なのだ。それを目の当たりにしたサン=プルーは驚愕して何もできなくなってしまう。途中何度か、昔の恋の炎を燃え上がらせる瞬間が二人共あるが、結局何事もなく終わる。
ここでは、ジュリの子どもたちの教育についても述べられており、『エミール』の縮小版のような趣もある。


とはいえ、このまま終わるとは思えない、最終巻でどんな展開になるのか、楽しみだ。

最後に面白い数節を紹介したい。

p.53
「悪徳への第一歩は罪のない行為について隠しだてをすることでして、誰にもせよ自分を隠すことを好む者は遅かれ早かれ自分を隠すことが当然のことになるものです。」

p.105
「純粋な道徳は厳しい義務を非常に担わされているので、更にその上にどうでもよい形式までを附け加えることはほとどんど常に根本を害することになります。修道士の場合がそれで、彼らの大部分は数限りない無用の規則に服しているので、名誉と徳がどういうものであるかを知らないと言われています。」

p.121
「最も富める者は最も幸福なのでしょうか。一体、裕福は幸福に何の役に立つのでしょう。」

p295
「将来も決して話すことのない言葉を、しかも母国語をさえ十分に習得していない時に無理やりに子供に勉強させ、~中略~たところで、そのために子供が流す涙のいってきにもそれが価しましょうか。」

すべてを日本の国を支配している人、政策を作っている人、愚かな校長どもに聞かせてあげたい。
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