王妃の首飾り 下 [文学 フランス]
アレクサンドル・デュマ作『王妃の首飾り』を読み終わった。基本的な登場人物、大きな出来事は大体上巻で出尽くし、あとは、裁判での判決に向けてひた走る感じの下巻だったので、意外とスイスイ読みすすめられた。
フランス宮廷を描いた作品にありがちな、不倫関係の描写も、マリ・アントワネットの高潔な人格のため、あまり生々しくなく非常に抑制されたプラトニックな感じで、しかもそのプラトニックな愛のせいで、傷ついていく様々な周りの人間の模様が描かれており、その恋愛話だけでも非常にドラマティックな感じだった。
前にも書いたが、この作品は、『ある医師の回想』というなが~い四部作の第二作目であり、前作『ジョゼフ・バルサモ』という作品が物語の展開の上で非常に重要な役割を演じている。先に書いた、王妃のプラトニックな愛のせいで傷ついた家族が主人公のようなこの『ジョゼフ・バルサモ』、この『王妃の首飾り』の前に読んでみたかった。
一応歴史小説ということなので、ネットで色々と真相を読みながら同時並行で読みすすめた。その過程で、当たり前だが、歴史的事実と違う部分が多々あることを知り、若干読書意欲が減退してしまったことは否めない。
『黒いチューリップ』『王妃マルゴ』ほど、最後まで熱中して読むことができず、最後の裁判の場面は若干覚めた感じで読んでいた。この場面、もう少し、様々なやりとりを克明に描いていたらもっとドラマティックな感じになったであろうにと思うと、少し残念だ。
長い割には、そこまでおもしろい作品ではなかった。
アレクサンドル・デュマ作品 順位
1. モンテ・クリスト伯
2. 黒いチューリップ
3. 王妃マルゴ
4. ブロジュロンヌ伯
5. 20年後
6. 王妃の首飾り
といった感じか。これで購入しておいたデュマ作品は一応全部読み終わった。
2020-02-20 05:10
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