恋の不意打ち [文学 フランス]
マリヴォーの『偽りの告白』が読みたくて購入した、絶版本の『マリヴォー・ボーマルシェ名作集』。ボーマルシェのフィガロ三部作は、昨年末から今年の初めにかけて読んだのだが、肝心のマリヴォー作品は読まないままであった。
この夏休みを利用して、遂にマリヴォー作品の初めに入っている『恋の不意打ち』を読み終わった。
女性に酷い仕打ちを受け、「もう二度と恋などしない」と誓う男性主人公レリオとその従僕アルルカン。そこへ、美しい伯爵夫人とその侍女コロンビーヌがやってきて、恋に落ちてしまう。しかし誓を立てた手前なかなかその恋心を自分に対しても他人に対しても認められない。だが、最終的にはお互いの気持ちを確かめ合い、大団円を迎える。
解説等には書いていなかったが、間違いなくシェイクスピアの『恋の骨折り損』をベースにしている作品である。しかし、女性や男性の性質を描いた箇所は本当に二つの性の恋愛における性質をよく言い当てており、すごく納得しながら読んでしまった。特にp14から始まる、レリオとアルルカンの女性論、
p.23から始まる伯爵夫人の「男性が何故滑稽な存在か」論はこの作品の白眉と言える。
岩波文庫の解説にあるとおり、作者マリヴォーは、恋愛心理劇の名手と言っても、確かに過言ではない。
非常に面白い作品だった。
2020-08-11 03:45
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