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Far from the Madding Crowd [文学 イギリス Thomas Hardy]


Far from the Madding Crowd (Wordsworth Classics)

Far from the Madding Crowd (Wordsworth Classics)

  • 作者: Hardy, Thomas
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: ペーパーバック



Thomas Hardy 4作目Far from the Madding Crowdを読み終わった。

読み始めてまずびっくりしたのは、ヒロインの名前、Bathsheba。ネット上のあらすじなどを見ると「パスシーバ」などとなっており、おそらく日本語訳を読んでいたら、この名前に気が付かなかったであろう。Bathshebaはそのまま読むと「パテシバ」。旧約聖書に登場する女性で、かの有名なダヴィデ王の妻であり、かの有名なソロモンの母である。これだけの説明だとさぞかし素晴らしい女性のように思われるが、彼女は元々、ダヴィデ以外の男性の妻。水浴しているところをダヴィデに見られ、気に入られてしまい、夫を激しい戦地に送られ殺され、その後ダヴィデと結婚しソロモンを産むことになる。

旧約聖書内ではかなり受動的な存在として描かれているが、文学や批評などでは、男性を誘惑する存在として描かれていたりもする。さらに言えば、自分では意識しないでも男性が引き寄せられる存在としても描かれたりもする。このハーディの作品内でも、そのような存在として描かれており、明らかに聖書のバテシバを意識して名付けられているのだと思う。

始めに、純真な主人公Gabrielを恋の虜にし、
若気の至りで、まじめで謹直なBaldwoodにちょっとしたいたずらをし、恋に狂わせ、
軽薄な美男子Troyにほだされ、結婚してしまう、
そんな、魅力的で、独立心が強いが、かなり軽薄なバテシバ。

結婚相手としてふさわしいGabrielとBaldwoodの求婚を即座に退けたくせに、明らかに軽薄なTroyの表面上の言葉に騙され結婚してしまうBathsheba。Hardyの描く1~4作目までの女性は、とても魅力的だが、常にどこか軽薄さが付きまとっている。

今回は、純真なGabrielと最後は結ばれるのでとっても読後感は良いのだが、そこに至るまでのどろどろした感じが凄まじい。何度も映画化、ドラマ化されるのがわかる気がする。昼ドラなどにもピッタリな作品といえるであろう。

彼の初期の傑作として評判の高い作品だが、確かに面白かった。
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