バレエ音楽 プロメテウスの創造物 Op.43 [ベートーヴェン 劇音楽]
評価
★★★★★★★★☆☆
ギリシア神話で有名なプロメテウスを題材にしたバレエ音楽。ベートーヴェンがバレエ音楽を書いていたということだけでも驚きだが、色彩感豊かで、聴いていて面白い。最高神であるゼウスの反対を押しきり、人類に火を与えたということで有名な人物を描いているだけあり、とても英雄的な曲調であり、ベートーヴェンにとても合っていたのでないだろうか。
曲は序曲で始まるのだが、この序曲がまた素晴らしい。若干不穏な感じで始まるが、さすがにハ長調の曲だけあり、曲は雄大・勇壮な感じになっていく。
序曲のあとに、さらに短い序奏があり、第一幕に入っていく。
この第一幕の音楽が、まるで交響曲を聴いているかのように、英雄的な主題あり、美しいアダージョあり、最後の盛り上がりがあり、この第一幕の音楽だけでもかなり完成されたひとつの作品となっている。
第二幕も、緊張感のある英雄的な音楽と、美しく広がりのある穏やかな音楽が交差し、曲は進んでいく。バレエを観ながらこの曲を聴いていたら、確かに客はとても楽しめるであろう。
ベートーヴェンは純音楽の作曲家というイメージが強いが、オペラにしろバレエ音楽にしろ、すごく情景描写や人間の心理の描写が得意な作曲家だったのだなあ、というのがこの全集を聴いているとわかる。あまり、聴かれることのない曲かもしれないが、交響曲を聴いたのと同じくらいの満足感が得られるのではないだろうか。
2021-04-03 04:21
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