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松谷みよ子 短編3 [文学 日本 松谷みよ子]


コッペパンはきつねいろ (偕成社文庫2001)

コッペパンはきつねいろ (偕成社文庫2001)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2021/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『松谷みよ子の本』第四巻に収録されている短編を読んだ。

1.東京っ子
2 赤ちゃんネコ
3.ばあちゃんの大切なもの
4.黒ねこ四代
5.ヤッホーさそりくん
6.コッペパンはきつねいろ
7.日本は二十四時間
8.雪
9.ねこの幼稚園
10.りゅうになりたかったへび
11.キマラ・ハラヘッタというヒツジの話
12.ベトちゃんドクちゃんからのてがみ

これらの作品は、初出一覧を見ると、1961年~1972年に発表された作品だとわかる。最後の方は70年代後半、一番最後の12.「~てがみ」は1991年発表らしい。戦争の痕跡もなくなっていき結構明るい雰囲気の作品が多いが、最後はヴェトナム戦争の枯れ葉作戦のせいで犠牲になった子供達を描いた作品。

1はいなかに東京からやってきたこの話。短くもう一歩。

2は放射能が雨とともに降ってくることを心配する子どもが、捨て猫も放射能にされされてしまうことを心配する短いながらも心暖まる話。

3はなくなった夫が町を救ったことをいつまでも大切に誇りにしている女性の話。これも心暖まる。

4はこれは傑作。モモちゃんとアカネちゃんシリーズのプーが家に来るまでの話のような感じ。恐らく松谷みよ子一家の実話にかなり近いのだろう。

5はよくわからない。さそり座の話?

6も傑作。母親を失った女の子と、同じように母ギツネを失ったキツネの心暖まる交流を描いた作品。

7は落語のような話。おばあちゃんが初めてフランスに飛行機で向かい色々ドタバタ劇を繰り広げる話。

8は、綿菓子売りのおじいちゃんが天に召される様子を、天の子供をうまく使って美しく描いた作品。

9は、イマイチ。

10も3に近い雰囲気をもった、おばあちゃんが愛するおじいちゃんのために知恵を絞り問題を解決する話。昔話をベースにしながらも、皆が幸せになるエンディングを用意しているあたり非常にうまいなあと思う。

11も面白い。二つの大きな湖のあいだに人工的な湖が出来た過程を自然描写とユーモアを交えて巧みに描いた作品。

12はとても考えさせられる。ヴェトナム戦争でアメリカが行った枯葉剤作戦のせいで生まれてしまったひとつの体に二つの頭がある奇形児として生まれたベトちゃんドクちゃんの実話。子供の頃テレビで映像を見てかなり衝撃的だった。根本に反戦思想がとことんあるのだなあと考えた。

結構心暖まる作品が多かった。

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