The Alexandria Quartet - Justine [文学 イギリス]
The Alexandria Quartet: Justine, Balthazar, Mountolive, Clea
- 作者: Durrell, Lawrence
- 出版社/メーカー: Faber & Faber
- 発売日: 2012/02/16
- メディア: ペーパーバック
昨年、William Folknerの有名作を一通り読み、その過程で色々と調べているうちに、この『アレクサンドリア四重奏』という本に興味を惹かれ購入してみた。かなり長い作品なので、題名通り全部で四部作となっており、ひとつの事柄を4つの角度から語る作品ということだ。芥川龍之介『藪の中』、ロックバンド、Extremeの3枚目のアルバム「Ⅲ sides to every story」に通じるテーマを持った作品集と言える。
第一作目:Justine
物語は、ある男性の語りで始まる。この男性はある街に、赤ん坊と来ており、昔のことを回顧している。自分はどういう人物なのかということはあまり語られず、結局最後まで語り手の名前すら明かされない。一つ一つの語りが、過去の断片となっており、登場人物も登場の初めに一から語られるわけではないので、この人誰だったっけ?と前のページをめくってみても説明がなかったりする。
大雑把なあらすじとしては、
あまり売れない作家 :語り手
アレクサンドリアの金持ち:Nessim
Nessimの妻でユダヤ人 :Justine
キャバレーの踊り子 :Melissa
この4人の不倫物語だ。NessimとJustineは金持ち夫婦だが、妻のJustineは男からも女からも愛されその恋愛遍歴は凄まじい。語り手とも不倫関係で、その様々な恋愛関係を夫のNessimは知っていながらも何もしない。Melissaと語り手は恋愛関係にあり、恐らく同棲もしている。Melissaは語り手を深く愛しており、語り手がJustineのことを愛していると知りながらも、語り手にひたすら尽くす。
Justineは若い頃、親戚の男にレイプされそれ以来精神を病み、まともな恋愛ができなくなる。そのJustineと一時期恋愛関係にあった、女性Cleaや、同性愛者者の男声Balthazarなども絡んでくる。昔Melissaのパトロンのような存在であったCohenという人物が登場して死にそうになっていたり、様々な人物が断片的に登場する。最後の方で、戦争が始まりそうなことも示唆され、語り手は、作家業とともに行っている教師の仕事を辞め、スパイのようなことをしないかと誘われたりする。
上記の4人はお互いがお互いの不倫を知りながら、その状態を許し、受け入れ普通に関係を築いて行けていることが驚き(最終的にはそれが理由で全てが崩壊するのだが・・・)で、フランスの自然主義小説を読んでいるかのようだった。Melissaの語り手への一途な愛が痛ましかった。
とにかく全てが断片的でなかなか物語が見えず、所々フランス語やラテン語がありその訳も出てこないので、理解が不十分な部分も多いのだが、一つ一つのエピソードがそれなりに興味深く結構楽しんで読みきることが出来た。
同性愛、強姦、戦争、不倫、人種、宗教など様々なものがテーマとして語られている気がする。今後の3つの作品でいろいろなことが明らかになることを期待している。
2022-01-26 03:49
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