跳べ、暁! [文学 日本 藤岡陽子]
藤岡陽子さん、初の児童向け小説らしい。俗に言う、ヤング・アダルト小説というのだろうか。
それぞれに悩みを抱えた女子中学生4人を中心に、自分たちの力で新しく創設した女子バスケットボール部の物語。
それぞれの登場人物たちが真っ直ぐで、ひたむきで、今ある自分の置かれた状況に負けずに前向きに生きる姿が感動を呼ぶ。時には喧嘩もしながら、お互いのことを思いやる気持ちが非常に上手に描かれている。そしてお互いがお互いの持つ様々な才能に敬意を持ち合っている姿も良い。「みんな違ってみんな良い」みたいな言葉は、どこか空虚に響くのだが、この小説は全く空虚に響かない。この辺をイヤミなく描けるのが、この藤岡陽子さんのすごさだと思う。この筆者が本当にこの思想を信念として持っているからこそ、物語にそれが浮かび上がってくるのであろう。
p342
「努力はすべて報われる、とはいくら単純な自分でも思ってはいない。でも努力をしなければ絶対に手に入らないものがある。」
この言葉は本当に良い言葉だと思う。
最後が完全なるハッピーエンドではなく、何となく心に引っかかるのだが、爽快感があるのが、素晴らしい。
是非、多くの小中学生に読んでもらいたい佳作だ。
2022-01-29 09:32
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