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エッセイ 民話と私・本を読む [文学 日本 松谷みよ子 エッセイ]


松谷みよ子の本 (第10巻) エッセイ

松谷みよ子の本 (第10巻) エッセイ

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/05/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



民話と彼女が読んできた本に関する話。
アンデルセンが好きだったらしく結構彼女は影響を受けているっぽい。

p.384
「私が童話をかきたいと思うようになったのも、子どものころにアンデルセンの、こうしたすぐれた芸術に接したからだと思います。そして、ソビエトでアンデルセンの作品を、子どもたちが人形劇にしているのを見たとき、この作家には国境がないのだなと思いました。もともと人間の心に国境はないのですから。」
彼女の作品を読んでいると、「人間の心に国境はない」ということを心から思っていた人だというのが伝わってくる。

彼女はトルストイも好きらしく、そのへんでも私の心が共鳴するのかもしれない。昔友人と「トルストイとドストエフスキーどっちが好きか」みたいな話になったとき、私は「トルストイ」と答えたのだが、その友人は「トルストイは浅い。ドストエフスキーのような思想的深さがない」と言い、そういう人が多いのだが、私はキリスト教思想を受けた、トルストイ作品はかなり深いと思うのだ。

ワイルダーの『長い冬』を語った章も面白かった。

p.397
「人間は何と現代のなかで、にくみあい、しらんかおをしあい、うわっつらでつきあっていることだろう。しかし、そうしたうすっぺらな生き方は、このきびしい自然の中にはもはや許されない。人と人とが心をよせあい、あたためあう。それこそが人間を生きさせる。」

何と深く、感動的な言葉だろう。

松谷さんは安房直子さんが好きらしく、彼女が安房直子さんに共感しつつ、都会にどっぷりの自分と自然の中に身をおく安房直子さんの違いを語るところも、どちらのファンでもある自分には感動的だった。
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