エッセイ 旅に出る・暮らしのスケッチ・戦後人形劇史の証言ー太郎座の記録・昔話十二ヶ月 [文学 日本 松谷みよ子 エッセイ]
松谷みよ子の日々の暮らし、彼女の夫瀬川拓男を中心にした人形劇集団「太郎座」の記録、昔話の文庫本のまえがき、など小品を中心に収録されたもの。
彼女の発言が、右翼からも左翼からも文句を言われることを伝えた作品、p519の「右と左に」が結構面白かった。「放射能」を批判するようなことを書いて右翼から蹴っ飛ばされ、「天皇」が死にそうな状態にあることを少し心配したようなことを書いただけで右翼から蹴っ飛ばされ、ということを冷静に伝えるもの。本当にくだらない世の中だと思う。
自分の生き方を考えた、p.525の「天人の素直さに」の一節も心に残った。
「あのころ、よく考えた。人間というのは知らないときにも人を傷つけているのだということ。
たとえば全世界の人へ、愛に満ちたメッセージを夢想している人が、混んだ電車の中でふたり分の席をとって全然気が付かないでいる・・・・・・こういうこともふくめて、である。」
こういう文章を読むと、日々の自分の生活を常に見直しながら生きなくてはなあ、と思う。
これで、このエッセイの巻を全部読み終わった。エッセイを読んでいて、本当に丁寧に生きた人なんだなあということが実感できた。
2022-02-20 07:31
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