海とジイ [文学 日本 藤岡陽子]
香川県瀬戸内海を舞台にした、おじいさんと悩む青年や女性の交流を描いた連作短編集的な作品。
1.海神 わだつみ
トイレでいじめにあい、公衆トイレに行けなくなってしまい不登校になってしまった少年とそのおじいさんの話。
2.夕凪 ゆうなぎ
東京で静かに真摯にクリニックを営んでいた医者と、その看護師の話。70歳の爺さんと50歳前の女性の話で読む前に若干あらすじを読んだときはあまり面白くなさそうと思ったのだが、読んでいるうちにどんどん引き込まれた。権威に屈っせず辛苦を舐めた医者、彼に手を差し伸べた友人、どうしようもないヒモ男、様々な登場人物がそれぞれに面白い。
3.波光 はこう
怪我をしてしまい高校最後の大会に出られず、大学の推薦もなくなってしまった、超高校級の力を持つ長距離選手の高校生とそのおじいさんの交流を通して、正しく真っ直ぐに美しく生きることの大切さを訴えた作品。
短編集ということもあるのか、ほかの藤岡作品に比べると涙ボロボロという感じではないが、なんとなくジワっと来る、人生前向きに正しく生きようと思わせる作品。バラバラの短編なのかと思っていたが、どこかで3ぺんが繋がり合っておりもう一度頭から読みたいと思わせる仕掛けも粋だ。
2022-03-24 03:28
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