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Wessex Tales [文学 イギリス Thomas Hardy]


Wessex Tales (Wordsworth Collection)

Wessex Tales (Wordsworth Collection)

  • 作者: Hardy, Thomas
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1998/04/01
  • メディア: ペーパーバック



久しぶりにThomas Hardy作品を読んだ。彼の代表的な長編はほぼ読んだので、結構定評のある短編にも手を出してみた。

1. The Three Strangers
大雨のなか、のどかな田舎町で行われている子供の誕生を祝うパーティーに、見知らぬ男が順番に三人訪れる。パーティーに参加している皆が知らぬ男ばかりなのだが、雨宿りという名目と、お祝いということもあり誰も追い出すことはない。勝手に酒を飲んだり、部屋の端っこで静かにしていたりと様々な行動をとっているのだが、そこに翌日死刑になる予定の男が脱走したという知らせが届く。パーティーに参加していて人間たちは大騒ぎとなり、皆でその犯人を探すが・・・。

話の展開が読めそうで読めず、結構面白かった。

2. A tradition of Eighteen Hundred and Four
フランスに近いある港町での話。ナポレオン時代の話で、実はナポレオンがこの町に偵察で小さな船に乗って来ていたという話。とっても短い短編。簡略化されたものを昔英語のテキストで読んだ気がする。

3. The Melancholy Husssar of the German Legion
結婚を約束したのに、結婚式前に「必ず帰る」と言い残し何処かへ行ってしまった婚約者はひたすら待つ女性の話。彼女の前に、何故かイギリスの軍隊に一員となっている、ドイツ人の男が現れる。二人は恋に落ち、駆け落ちをして、故郷ドイツに戻り穏やかに暮らそうと約束する。そして駆け落ちの日。女性が相手のドイツ人を待っていると、婚約者が現れる。婚約者は女に会いに来たと友人に語っているのが聞こえてくる。それを聞いた彼女は駆け落ち相手の男性に、「やっぱり一緒にドイツにはいけない」と告げ、自分の家に帰る。そこで婚約者と結婚しようとするのだが、告げられた言葉は「もうすでに結婚している」というもの。その後、脱走したドイツ人がつかまり死刑になったという知らせが・・・。
結構悲しいが読み応えのある作品。

4. The Withered Arm
けっこう有名な話らしい。ある農夫が美しい女性と結婚することになる。彼らは馬車に乗って田舎町に現れる。その若妻が美しいのかどうかということが非常に気になっている、息子を女でひとりで育てている一人の女性がいる。彼女は夢の中で、激しくその若妻の腕を握る。
次の日、その女性と若妻が出会う。その若妻の腕にはなんと自分の手形が残っている。若妻の腕はどんどんと萎えていき、夫にも疎まれるようになる。若妻は何とか治らないかと占い師に話を聞きに行ったところ、その女性が犯人であったことがわかり、その女性は村を出て行く。その後も彼女の腕は治らず悩んだ若妻は再び占い師のもとへ。
そこで、「死刑になった人間の体にすぐ触ると腕が治る」と言われる。苦労して死刑になった人間の体に触るとその人は・・・。これもかなり哀しい話だったが面白かった。

4. Fellow-Townsmen
金持ちだが妻とうまくいっていないBarnetとそんなに裕福ではないが温かい家族を持つDowneの話。ある日、Barnetに頼まれ、Downeの妻はBarnetの妻を海へ遊びに連れて行ってあげる。そこで水難にあい、二人は溺れる。Barnetの妻は死ぬが、Downeの妻は何とか助かる。しかしDowneの妻は結局家を出て行く。そんな中Barnetは昔好きだったLucyに会いにいく。昔結婚まで約束していたのだが、金を持っている今の妻を最終的に選んだBarnetをLucyは拒む。金の無いLucyは町を出て外国で働こうとするが、何とか自分のそばに置いておきたいBarnetは妻を失ったDowneの子供たちの世話役としてLucyを紹介する。
そんな中、家出をしていたBarnetの妻が死んだという連絡が届く。これでLucyとめだたく結婚できると思ったBarnetはLucyに求婚しに行こうとするが、DowneとLucyはいつの間にか恋仲になっておりまさにその日に結婚することに。
このことに絶望したBarnetは町を出て行く。
20数年後町に帰ってきたBarnetはLucyが独り身になっているのを知り、求婚。彼女は断るが、やっぱりBarnetを愛している自分の気持ちに気づきBarnetを探すが、見つからず・・・。

すれ違いの物語であり、悲恋物語。後期Hardyの雰囲気を漂わせる中編で結構面白かった。

6. Interlopers at the Knap
こちらも男女のすれ違いを描いた作品。結婚を約束した女性のもとに、立会人の友人と共に向かうDarton。こんなに素晴らしい女性はいないと友人と話しながら向かう。一方Dartonを待つSallyのもとに、家を出ていた兄が妻と子供を連れボロボロの姿が帰ってくる。兄はかなり衰弱しておりベッドに寝かせられる。馬小屋のようなところで待っている妻と子供のもとへ向かうSallyは、自分の夫となるはずのDartonが兄嫁のHelenaと微妙な雰囲気。実は昔二人は恋仲だったことが分かり、Sallyを捨てHelenaと結婚するDarton。
しかしふたりの結婚はうまく行かず、そのうちHelenaも死ぬ。やっぱりSallyと結婚すべきだったと思い返したDartonはSallyに求婚するがSallyは拒絶する。Dartonは絶望して終わる。

かなり悲しい話だが、Sallyの高潔さが気持ち良い話。

7. The Distracted preacher
期間限定でやってきた牧師が、泊まり先の未亡人に恋をし、結婚を約束する。しかしこの未亡人は酒の密売をやっていた。そのことを発見した牧師が、愛と犯罪の狭間で苦悩する話。

それなりに面白かった。

結構ストーリーも面白く、読みやすい作品たちだった。
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