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バルトーク [作曲家 伝記]


音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク (音楽家の伝記はじめに読む1冊)

音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク (音楽家の伝記はじめに読む1冊)

  • 作者: ひの まどか
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
  • 発売日: 2022/03/29
  • メディア: 単行本



昔、何かがあり、バルトーク作曲の一曲を聴きたくなり、せっかくなので全集をと考え、彼の全集CDを購入しポツポツ聴いてはいたのだがあまり心に響かなかった。ハンガリーの作曲家でコダーイと仲がよかったということ以外彼自身のこともあまり知らず興味もなかった。

正直この、ヤマハエンターテインメントから出ている「音楽家の伝記 はじめに読む一冊」の新作として出ると知った時もあまり読む気はなかった。しかし、去年から続けている、作曲家の作品をなるべく全曲聴いていくプロジェクトで、リスト、ショパンと何となく東欧の流れが来ていたので、せっかくなので全集も持っているバルトークをこのタイミングで聴いてみようと思い、この本も手にとってみた。

素晴らしい人物だった。物語は彼がハンガリーの田舎町で発明されたばかりの録音機を手に、民謡の収集を行う場面から始まるのだが、彼の真摯で美しい心がよく表現されていた。彼は両世界大戦をもろに経験することになるのだが、その反戦姿勢、お金に対する潔癖さ、学問に対する真摯さ、音楽に対する真摯さ、物事全てに対する真摯さ、故郷を大切にする思い、人を大切にする心、全てに感謝する心、本当に全てが素晴らしい人物だった。本当に読んでよかった本だと思う。

p.68
「作曲家はつねに新しいものを生み出す宿命にあるが、完全に新しいものは、完全に伝統的なものからのみ生まれると、僕は考える」

p.163
「また、ナチス支配下のドイツで、ユダヤ人の作曲家たちをさらし者にする「退廃音楽展」が開かれたと知ると、激しい抗議の文書を送ると同時に、自分の作品もそこに連ねるように要求した。
 ハンガリー国内においても、ユダヤ人は排斥が法案にかけられるやいなや、すぐさまこれに抗議する声明文を発表した。
 『人々よ、良心の責任において考えよ!このような恥ずべき法案がもし議会を通ることがあれば、それは全ハンガリー人の恥だ!」

p.209
「何か、心がとても痛むんだ・・・・・・。村では、人々がひとつのテーブル、ひとつの椅子を作るのにどれほど苦労していたか・・・・・・。時にはたった一つの家具を作るのに何年もの時と手間をかけていた。それに反して、ここでは一夜にしてすべての物がそろってしまう・・・・・・。要は価値観のちがいなのだが、わたしはどういう気持ちでこのことを受け入れたらいいのか、よくわからないんだよ。」

本当に素晴らしい人物だったのだと思う。
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