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Life's Little Ironies [文学 イギリス Thomas Hardy]


Life's Little Ironies (Wordsworth Classics)

Life's Little Ironies (Wordsworth Classics)

  • 作者: Hardy, Thomas
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1998/01/01
  • メディア: ペーパーバック



An Imaginative Woman
夫、子どもと共に田舎の宿に泊まりに来た女性が、普段そこに住んでいる詩人に興味を抱き、どんどん心酔していく。自分の家に帰った後、色々な伝手をたどり、その詩人を自宅に招き会えそうになるが、結局会えず。その後も会おうと努力を続けるが、最終的には詩人は自殺してしまい、その女性も後を追うように死んでしまう。
結末は悲しい話だが、全体的にユーモアにあふれ面白い話。

The Son’s Veto
あるお屋敷で働く女性が、そこの主人に物を運んでいた時に転んでしまい、足に障害を負ってしまう。そのことがきっかけになったのかは分からないが、その家の主人に結婚を申し込まれる。既に女性は気の良い幼馴染に結婚を申し込まれていたのだが、その家の主人と最終的には結婚し、子どもをもうける。しかし召使をしていたということもあり、妻になったその女性はあまり教養がない。一方の息子はかなりの教養を身につけ成長する。夫が死んだ後も、子どもの自分の教養の違いに苦しむ女性。そんなある日、昔自分に結婚を申し込んでいた幼馴染を見かける。再び仲良くなった二人は結婚を誓い合うが、女性は息子に認めてもらってから、と言って結婚を伸ばす。しかし、息子は母の再婚を認めず、最終的には女性は死んでしまう。

これも悲しい結末なのだが、そこまで悲壮感はない。



For Conscience’ Sake
ある男性がある女性と婚約し、子供までもうけるが、結婚しないままに彼女の元から逃げる。何十年もたち、彼女を置いて逃げたことに良心の呵責を感じ、彼女を探し出し結婚を申し込もうとする。一歩の彼女は娘と共になんとか頑張り、歌とダンスの教室を開き、地元ではそれなりに地位を確立していた。娘はある若者と結婚真近なのだが、母子家庭ということもあり若干反対されている。そんな中この男が女にプロポーズする。一度は断るが、娘の結婚がうまくいくかもしれないと説得され最終的には結婚する。しかし、娘の父親が実は再婚したこの男だ、ということが娘のフィアンセに知られてしまい、破談になりそうになる。この状態に心を痛めた男は、彼女たちに財産を残し、姿を消す。

何故初めに結婚せず、再び結婚しようとしたのかイマイチ細かく描写されていないのだが、あまり共感できないシチュエーションでもう一歩だった。


A Tragedy of Two Ambitions
息子二人に大学教育を受けさせたいと頑張っていた母親が死んでしまうが、母親の意志を何とか尊重しようと学問を続け、牧師と教師になった二人の息子。牧師となって初めて赴任した地に、初め慣れるまで身の回りのことを手伝おうとやってきた妹。

On The Western Circuit
叔母さんの家にやってきた女性が、その来る途中で知り合ったジェントルな男性と恋に落ちる話。注によるとwestern circuitとは弁護士(裁判官?)が、自分の区画以外の所を廻って裁判を行うことなのか?男性はその弁護士だか裁判官で、女性と知り合った場所にとどまっていることができず、再び帰ってくることを誓い、手紙を出し合うことを約束する。しかし女性は読み書きができず、手紙を叔母さんに書いてもらうことに。この叔母さんは結婚しているのだが、自分の結婚に満足いっていない。「結婚しないくらいなら悪い結婚をした方がよい」という親の信念のもと結婚してしまった女性でかなり後悔している。そしてこのジェントルな男性にほのかな恋心を抱いている。
結局女性は妊娠のため(?)、田舎に帰ることになり、叔母さんとは離れ離れに暮らすことになる。これによって、代わりに手紙が書けなくなってしまうのだが、叔母さんは自分の言葉をそのまま手紙に書いて、その男性と文通を続ける。
その男性は、手紙の中にあふれ出る教養と品格にどんどん惹かれていく。結局男性と女性は結婚するのだが、結婚後すぐ、手紙は叔母さんが代筆していたことがすぐにばれる。男性は叔母さんが手紙を書いていたことを知り、彼女と一瞬だけ顔を合わせ最初で最後のKissをする。階級差、教養といったテーマが書かれたほのかにさみしいこの作品。結構面白かった。

最後の男性のセリフが何とも悲しい。
p.95
‘Reading over all those sweet letters to me signed “Anna”,’ he replied with dreary resignation.

To please his wife
船乗りの男が、長い船旅を終えて自分の故郷に戻ってきて教会で感謝の祈りをささげる。協会からの帰り道、二人の女性を見つける。そのうちの一人Emilyと段々と良い関係になっていくが、段々ともう一方のJoannaと親しくなり婚約する。しかしJoannaは金持ちになりたくて、船乗りの男が結婚相手としてふさわしくないのでは、と考えEmilyに譲ろうとEmilyの家へ向かう。そこで、男とEmilyが話をしているのを耳にしてしまう。「Joannaは自分のことを本当には愛しておらず、実は結婚を望んでいない、自分が本当に愛しているのはEmilyだ」と男がEmilyに話しているのを聞き、逆に悔しくなってしまい、男が婚約解消の手紙を送るが、Joannaは拒否。結局男とJoannaは結婚する。二人は食料雑貨店を経営し、男の子が二人できるが暮らし向きは良くならない。一方Emilyは裕福な商人と結婚しどんどん暮らし向きは良くなる。貧乏で子供たちを大学にも行かせられないと嘆く妻を見て、男は海に出て金を手に入れることとする。金持ちになって男は帰ってくるが、それでも妻は満足しない。結局男は息子二人を連れて海に出る。しかし三人とも帰ってこない。Joannaは落ちぶれてしまう。

かなり教訓的な話で、日本昔話的。結構読みやすく面白かった。


The Fiddler of the Reels
Nedという男性に求婚されていたCar’lineという女性が、Mopという流し(?)のヴァイオリニストの音に心惹かれてしまい、そのままそのMopに心まで奪われてしまう。結局Nedは結婚を断られLondonに一人向かう。それから4年たち、Car‘lineから手紙が届き、自分と結婚して欲しいと請われる。まだCar’lineを愛していたNedは彼女がLondonまで出てきてくれるならという条件付きで結婚を承諾する。Car‘lineが電車に乗ってはるばるやってくるのを迎えるNed。感動の再開の後、ふと気が付くとCar’lineは小さな女の子を一人連れている。その子はMopの子供だった。Nedは悩むが結局Car’lineと結婚。二人はしばらく子供と共に仲良く暮らす。やはり地元で暮らした方が良いだろうということで、生まれ故郷に戻る。その途中に入ったMotelでMopを見かけるCar’line。彼がヴァイオリンの演奏を始めると一気に心が持っていかれてしまう。ヴァイオリンの音に合わせて踊り続けるCar’line。気が付くと、その場所にはMop, Car’line, 娘だけになっている。踊り疲れて倒れてしまったCar’line。気が付くとMopは娘をさらって逃げてしまっていた。そこにNedが登場する。彼は血のつながりはないが、娘に深い愛情を寄せており、必死に探すが見つからず・・・。

結構哀れで悲しい結末。


A Few Crusted Character
◎Tony Kytes, the Arch-Deceiver
Tonyというモテる男がいたが、かれはMillyと結婚することに決め婚約する。そんなある日、街から家への帰り道、昔の彼女Unityと出会い馬車に乗せてあげる。そこで彼女に再び心惹かれてしまう。そんなことをしているうちに婚約者のMillyに出会う。Unityと一緒にいるところを見られてはまずいと思い、Unityを場所の後ろに隠す。Millyを乗せはしっていると、初恋の人Hannaに出会う。何故かここでもMillyを前に隠し、Hannaを乗せる。話をしているうちにHannaに心惹かれ結婚を申し込んでしまう。そんなことをしていると、Tonyの父親が見える。Hannaに馬車をまかせ、父親と話をする。父親はMillyとちゃんと結婚するよう強く薦める。そんなことをしていると馬車がどんどん行ってしまう。中では三人の女性が喧嘩をしていた。何とか馬車に追いついたTonyは馬車に乗り込み、Hannaになぜか結婚を申し込む。断られる。次になぜかUnityに結婚を申し込み断られる。残ったMillyと気まずい雰囲気になりつつも結婚を申し込み了承され二人は結婚する。ドタバタ劇でくだらない話。

◎The History of the Hard comes
Tonyの結婚式での話。従妹同士のJamesとSteveは、それぞれEmilyとOliveと婚約している。JamesとEmilyはインドア派、SteveとOliveはアウトドア派。結婚真近だった二つのカップルだったが、Tonyの結婚式で、お互い別の相手と踊っていたところ気分が盛り上がってしまい、実際にはSteve&Emily, James&Oliveという組み合わせで結婚する。数年はうまくやっていたが、段々とインドア、アウトドア派の性格の違いで違和感を感じだす。そんなある日、海辺に4人で行く。船で漕ぎ出そうというSteveにOliveが賛成。JamesとEmilyは岸辺で待つことに。James達はお互いインドアでアウトドア派のパートナーに若干ついていけないことをお互い告白。そんなことをしているうちにあたりは暗くなっていく。それでもSteveたちは帰ってこない。結局二人は波にのまれ死んでしまっていることがわかる。JamesとEmilyは1年半後結婚。正直これもくだらない。

◎The Superstitious Man’s Story
幽霊話or幽体離脱の話? 正直もう一歩。

◎Andrey Satchel and the Parson and Clerk
Janeという女性とAndreyという男性が結婚することになっている。JaneはAndreyより年上で、彼が他の女に取られてしまうのではないかと気が気でなく、一刻も早く結婚してしまいたい。そんな結婚式当日、Andreyは酔っぱらって足元もおぼつかない状態で教会にやってくる。牧師はそんな状態では結婚させられないといい、一度帰るようにAndreyに言う。しかし一度帰ってしまうと二度と現れないのではと心配でならないJaneは自分たちは教会に残るから牧師が一度帰って酔いがさめるであろう2時間後にくらいに戻ってきて欲しいと願う。しかもその2時間の間にAndreyが逃げてしまうと困るので、自分たちを閉じ込めて欲しいとお願いする。二人を閉じ込めた事務員と牧師は一度帰る。そこで馬を散歩させてほしいとある人にお願いされ、二人は馬を散歩させているうちに時間を忘れどんどん奥まで行ってしまい帰れなくなってしまう。次の日、JaneとAndreyを閉じ込めておいたことを思い出した二人は急いで帰る。震えながら待っていた二人は最終的に無事結婚する。

◎Old Andrey’s Experience as a musician
前話に出てくるAndreyの父親の話。クリスマス週、聖歌隊(?)に誘われたのかよくわからないが、歳を取っているので参加は辞退したがその代わりにヴァイオリンで参加しようとした話?あまりよくわからない。短いし面白くなかった。

◎Absent-Mindedness in a Parish Choir
これも聖歌隊&音楽隊の話?よくわからないしつまらない。

◎The Winters and the Palmleys
若い美しい女性が二人いて、ふたりはお互いライバル的に競い合っている。一方の女性がつきあっていたWinterなる男性をもう一歩の女性が奪って結婚してしまう。二人の間には男の子ができる。数年後、奪われた方の女性もPalmleyという男性と結婚し息子を儲けるが、貧乏生活。Palmleyはその後死んでしまい、Palmley家の息子はWinter家の下働きのようなかたちで雇われる。ある日冬の寒い日お使いに出されそれが原因で死んでしまう。Palmleyは復讐を誓うができないまま数年が経つ。
そんなある日、Palmleyの元に都会育ちの美しい姪っ子がやってきて一緒に住む。Winter家の息子は彼女にひとめぼれし付き合い婚約する。しかし都会育ちの彼女に今のままの自分ではふさわしくないと思い一念発起し農家として独り立ちしようと地元を離れる。離れた土地から彼女に手紙を送り続ける。しかし学がない彼はスペルミスも多くまともな手紙が書けない。それに嫌気がさした彼女は他の男性と婚約してしまう。戻ってきた彼は、ふとしたことから彼女が婚約した男性の手紙を目にし「これはかなわない」とあきらめる。しかし自分が彼女に送ってしまった手紙が恥ずかしくてならず何とか返してもらおうとするが、彼女は返さない。しかたなく夜、彼女の家に入り込み盗み出す。しかしその手紙の入っていた箱にはお金も入っており、すぐに強盗犯として捕まり、何故か死刑判決を受け死ぬ。こうしてPalmleyの復讐は意図せず成し遂げられる。

正直後味の悪い作品。

◎Incident in the Life of Mr George Crookhill
みすぼらしい格好をしてみすぼらしい馬を連れたGerogeは自分の家に帰っている。そこで背の高いちゃんとした格好をした格好良い馬を連れた若い男に出会う。帰り道で仲良くなった二人は同じ宿に泊まる。朝起きたGeorgeは出来心から、若い男の服を着る。そこにお財布が入ったいたのだが、さすがにお財布を持っていくのは悪いと考え、机の上に置く。その格好のまま彼の馬に乗り去る。しかし実はこの若い男は強盗犯だった。彼と間違えられたGeorgeは捕まり連行される。このまま刑務所か、と思ったが誤解は解け解放される。

正直これもくだらない感じ。

◎Netty Sargent's Copyhold
相続の話?
もう一歩。

最後の連作短編集、A few Crusted Charactersはくだらない作品ばかりだったが、他の作品はそれなりに楽しめた。

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