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おとぎ話の忘れ物 短編⑨ [文学 日本 小川洋子 短編]


([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫)

([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/04/05
  • メディア: 文庫



文を小川洋子、絵を樋上公美子が担当したコラボ作品。色々な対談や、作家どうしのこうしたコラボ作品など、小川洋子という人は結構だれかの芸術作品を作り上げていくのが好きな人なのではないかと思う。

樋上さんの絵はあまり好きではなかったが物語はそれなりに面白かった。

キャンディー屋さんの主人が、世界中のキャンディーを探し回っているとき、イタリアで落し物をし、現地の落し物センターに行ってみたところ、偶然誰かが書いた物語の紙を見つけ、それがきっかけとなって世界中の落し物センターにある物語を集めるようになったという話。結構な量が集まると、各国の専門家に訳してもらい、装丁なども自分で行い、キャンディーやの奥に、【忘れ物図書室】なるものを作り、読んでもらうという設定。そこで拾い集めたとされる物語が4篇載っている。

1.ずきん倶楽部
2.アリスという名前
3.人魚宝石職人の一生
4.愛されすぎた白鳥

1は童話「赤ずきんちゃん」をモチーフにした作品。最後は結構グロい。
2は「不思議の国のアリス」をモチーフにした、というか題名を借りて色々な作品も織り交ぜながら、動物をうっかり食べてしまった、口に入ってしまった時の子どものとき感じる、焦りのようなものがうまく表現されている。
3は「人魚姫」をモチーフにしたというか、海の中からの視点で描いたもの。幻想的で優しさに満ちた良い話だった。
4は「白鳥の湖」か何かをモチーフにしているのか。短く最後は悲劇的。最後にキャンディーのモチーフが現れるあたりがうまい。

一篇一篇が短く気軽に読める分、そこまで圧倒的な読書体験という感じにはならなかった。
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