SSブログ

ツナグ [文学 日本 辻村深月]


ツナグ(新潮文庫)

ツナグ(新潮文庫)

  • 作者: 辻村深月
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: Kindle版



新潮文庫のキャラクターが「Yonda?」くんが、昔から好きだった。店頭でもらえるしおりを集めたり、帯を切り取って送るともらえる「Yonda?」くんグッズもかなりもらった。いつのまにか、かわいいパンダがのっぺりしたパンダに変わり、興味が覚めていたのだが、数年前から「キュンタ」というキャラクターに変わった。夏の100冊を紹介する小冊子の物語も面白いし、キュンタしおりも可愛いので、毎年夏の100冊を楽しみにするようになった。しかし、新潮文庫の夏の100冊はあまりラインナップが代わり映えせず、読みたいと思える本がほとんどなくなってしまった。

しかし今年のしおりはプラスティック製でしっかりしているし、是非とも手に入れたいので必死で探した。この辻村深月の『ツナグ』もあらすじを読むとあまり面白そうではなく、私の読みたい本リストには全く入っていなかったのだが、この本の続編も100冊に入っており、評判も良さそうなので、しおり目当てに2冊同時に購入してみた。

読み始めて、すぐにその世界に引き込まれた。死んだ人と生きている人をツナグ物語ということで、正直対して話も広がらないだろうし、SFまがいな、ファンタジーまがいな感じがしていたのだが、すさまじく面白いし、胸が締め付けられた。
人生に前向きになれない目立たない女性が、死んでしまったアイドルと会う話、家父長制の中で役割を与えられ、不器用な生き方しかしてこられなかった男性、親友が死んでしまった女の子、結婚間近に相手の女性が失踪してしまった男性、そしてこの「ツナグ」という役割を与えられた男の子、それぞれがそれぞれの思いを抱え、その思いを死者と会うことで新しいものに変えていく。

辻村深月は、それぞれの話が最終的に回収されていくので、非常にカタルシスを得られ、読後感が非常に良い。

異化効果の強い小川洋子、ボロボロ涙を流させる心の中の感情をすべて外に出させる効果を持つ藤岡陽子、この二人とは全く違う形で素晴らしい読書体験を得られる作家だとこの本を読んで思った。

『かがみの孤城』も素晴らしかったし、是非彼女のほかの著作も読んでみたいと思った。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。