サド侯爵夫人 わが友ヒットラー [文学 日本 Classic]
三島の戯曲に興味を持ち、それなりに有名な作品を読んでみたくなり読んだ本。
「サド侯爵夫人」は女性だけの6人劇
「わが友ヒットラー」は男性だけの4人激
二作品とも年代や時間は経過すれど、演じられる場所は変わらず、大掛かりなセットなども必要としない、演者の語りと演技がかなり重要な要素となる、私の大好きな種類の戯曲。セリフに込められた様々な感情・心理展開なども実に見事で、実際に舞台を観たらかなり楽しめる作品だと思う。
「わが友ヒットラー」の方は、レームの純粋さ愚直さが、まさに三島好みだろうなあ、と思いながら読んでいた。最後に付された三島自身の解説にも、「レームに私はもっとも感情移入をして、日本的心情主義で彼の性格を塗り込めた」(p.233)と書いてあった。
「サド侯爵夫人」はサドが実質上の主人公のような感じなのだが、そのサド自身は登場せず、ひたすら彼をめぐって6人の女性が語り合うという作りとしては素晴らしい作品。「ゴドーを待ちながら」的な要素もある。しかし、いつも書いているが、私はあまり「性的」な作品が好きではなく、とくに奇怪的な性嗜好のサドを描いた作品で、読んでいてあまり気持ちの良いものではない。
何にしろどちらもそれなりに面白く、三島の戯曲の代表作として取り上げられるのもわかる気がした。
2023-01-06 13:12
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