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ひげよ、さらば 下 [文学 日本 児童書]


ひげよ、さらば―猫たちのバラード〈下〉 (新潮文庫)

ひげよ、さらば―猫たちのバラード〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: 上野 瞭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/02/07
  • メディア: 文庫



犬たちとの戦いを終え、猫たちのもとへ帰る主人公ヨゴロウザ。しかしそこでヨゴロウザに何故か憎しみを抱く名無し猫に出会う。死闘の末、ヨゴロウザは右目を失う。さらにボロボロのヨゴロウザをノラ猫さがし猫が助け、彼を「兄貴」と慕う。

その後は、猫たちのもとへ帰り、リーダーとなってみんなを独裁的にまとめようとするが、失敗。マタタビ(麻薬?)に溺れる。が、片目に救われる。その後犬たちとの死闘。仲間の死。仲間の死を目の前にした友の発狂。別れ。などなど次々と事件が起こっていく。

独裁者の苦悩、争いに巻き込まれ血を見た時の普段とは違う心の高ぶり、野生の血、戦地で仲間の死を見た人たちのトラウマによる心の病、麻薬による心の崩壊、など様々なテーマを扱っているのはわかる。

だが、やはり動物が主人公ということもあるのかもしれないが、どうしてもその世界に入り込みきれなかった。自分を客観視する視点、穏やかだが冷酷なリーダーなど、上野瞭らしい世界観はあるのだが、かれの「ちょんまげもの」シリーズに比べると一段落ちる気がする。名作とかなり名高い作品だっただけに、さらにかなりの長編だっただけに、少し残念な感じだった。

ちなみに、『ルドルフとイッパイアッテナ』は若干、この『ひげよ、さらば』にインスパイアされている気がする。

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