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小公子 [文学 イギリス]


小公子 (光文社古典新訳文庫 Aハ 2-2)

小公子 (光文社古典新訳文庫 Aハ 2-2)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/03/10
  • メディア: 文庫



小川洋子さんはじめ、結構多くの私の好きな人々が勧める『小公子』。正直あらすじなどはほとんど興味を惹かないものなのだが、小川洋子さんも好きな作品ということもあり、光文社古典新訳でも新しい訳が出たということもあり購入してみた。

おもしろかった。

とにかく、主人公セーラが素晴らしすぎる。崇高で優しく、気高く、どんな困難にも前向きに取り組もうとする姿勢が美しすぎる。確かにこんな良い子はいないだろう、とか、こんなに都合よく事態は進まないだろう、などツッコミどころは満載なのかもしれないが、これはあくまで物語ですからあ!!!

ストーリーはとにかく面白く、さすがストーリー重視のイギリス文学の伝統を引き継ぐ作品だと言える。

p.65
「「人の身に起こることは、偶然だと思うの」セーラは、よくそう言った。「わたしの身には、すてきな偶然がたくさん起こったの。わたしは偶然にも昔から勉強や本が好きだったし、習ったことをおぼえておけたの。りっぱですてきで頭が良くてわたしにほしいものを何でも与えてくださるお父様をもったのも偶然だのおかげだと思うの。」」

p.98
「だって、わたしたち、同じようなものじゃないの。わたしもあなたも、ただのちいさな女の子だもの。わたしがあなたじゃなくて、あなたがわたしでないのは、単なる偶然に過ぎないのよ!」

p.191
「試練が降ってきたのは、、そのためだったんだと思うわ。」
~中略~
「物事には何かしら意味があるんじゃないかと思うの。わたしたちには見えなくても。」

p.323
「のみこみが遅い人は、そういうものなんだし、わたしみたいにのみこみが早い人もそういうものなの。それだけのことよ。」

自分の能力をひけらかすことなく、人のために惜しみなく使うセーラ。まさに、あとがきにもあるが「ノブレス・オブリージュ」高貴に生まれた人間の責任を考えて動く、素晴らしい人物だ。

確かに少年少女に読ませたい作品だった。

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