ソピステス [哲学 プラトン]
副題は「〈あるもの〉(有)について」となっているが、基本的には、当時「知」を教えて金をもらっていたソフィスト達に対する批判の書。
この作品は、ソクラテスが初めに登場はするのだが、本格的な対話には参加せず、『テアイテトス』のソクラテスの対話相手だったテアイテトスと、エレアからの客人との二人の対話で議論は進む。当時恐らく、ソフィストは相当幅を利かせており、ソクラテスが対話を主導するかたちでソフィスト批判をするのは少し憚られたのかもしれない。
本来は
1.『ソピステス』 ソフィストについて
2.『ポリティコス』政治家 について
3.『ピロソポス』 哲学者 について
という三部作にする予定だったらしいが、最後の『ピロソポス』は書かれなかったらしい。しかしこれは『国家』の後半がまさに哲学者について語ったものな気がするので、『国家』をもってプラトンの計画は達成されたきがする。
初めに、ソフィストの定義づけをしようというところから議論は始まる。ソフィストの様々な側面が細かく定義づけられていく。その後、「有る」「ない」「同じ」「異なる」などの定義づけなどがされ、最終的にソフィストを「知者を物真似る者」と定義する。
かなり緻密な議論がなされており、結構論理を追っていくのがしんどいが面白かった。
p.54
「思うに、ソフィストたちは、彼らが反論して渡り合うその当の事柄にかけては、自分でもちゃんと知識を持っているというふうに思われているからなのだ。
~中略~
してみると彼らは、あらゆる事柄について知者であるように、弟子たちには見えるわけなのだ」
p.58
「ソフィストとは実物を真似てその似姿を作るところの、一種のいかさま師であるということは、もはや明らかだろうか?
~中略~
ソフィストとは、(遊びごと)にたずさわっている者たちのひとりであることは、もはや明らかだと言ってよいでしょう」
イデア論なども出てきてそれなりに興味深い本だった。
2023-04-07 16:51
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