コロッケが五十二 [文学 日本 安房直子 か行]
町の肉屋で何十年も使われている大きなおなべがあった。肉屋のおかみさんはこのおなべがお気に入りで、コロッケを毎日山のように作って売っていた。この肉屋に、「こふきちゃん」と呼ばれる小さい女の子がいた。彼女は小さくまん丸のコロッケを作ってお店の手伝いをしている気でいた。おかみさんは、彼女が作るコロッケでは売れないし、材料がもったいないが、いたずらやけがをされるよりはまし、と考えそのままにさせてあげていた。
ある日、家族全員で午後からお出かけすることに。その午前中、こふきちゃんは自分の作ったコロッケを揚げて欲しくておかあさんに頼むが、逆に怒られてしまう。それがショックで、午後お出かけの時間になっても「いかない」と言い張る。そこで父母は二人で出かけることに。
両親が出かけたあとこふきちゃんは自分でコロッケを作ってみることに。しかしいざ油で挙げる段階になるとさすがにビビってしまう。そんな時、電話がかかってきて、コロッケを50個注文される。
これを受けいよいよコロッケを揚げることになるが、彼女は数が数えられない。そんな時、大きなおなべが助けてくれることに。こうして50個のコロッケを作ってお客を待っていると、実はお客は猫だと分かる。猫と押し問答していると、まんまるコロッケがコロコロ転がっていってしまう。町へ転がるコロッケを、猫とこふきちゃんが追いかける。いつの間にか、こふきちゃんは自分がコロッケになってしまったかのような錯覚に陥る。
コロッケを追いかけてだんだん疲れてきたところにお母さんが帰ってくる。
安房直子作品の中ではもう一歩な感じの作品ではあるが、可愛らしい作品ではある。
2023-05-07 15:12
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