空にうかんだエレベーター [文学 日本 安房直子 さ行]
大きな町の大通りに、子ども服の店ができる。
その店のショーウインドーの中には、いろいろな服が飾られていた。
秋が来ると、その服と一緒に、大きなぬいぐるみのうさぎが飾られる。そのうさぎはピアノを弾いていた。
この飾り付けに魅せられ、ともちゃんという女の子が毎日のようにやってくる。彼女はあまりにうさぎに熱中してしまい、ショーウインドーに鼻までくっつけてしまい、店の人に怒られてしまう。しょうがなく帰ろうとすると、うさぎがウィンクして「満月の晩に会いましょう」と歌いかけてきた。
そして満月の晩、ともちゃんがお店へ行ってみると、うさぎが窓ガラスをこすってガラスをなくしてしまう。外に出てきたうさぎはともちゃんと一緒に大通りを走っていく。高いビルまで来て、エレベーターに乗ると、そのエレベーターがビルを突き抜け、月へと向かってぐんぐん登っていく。
しばらくして、空へうかんだエレベーターから外へ出た二人は、自分たちで作ったマントを羽織り、そらを飛び回る。
しかしこうした魔法が効いているのは月が出ているあいだだけ。月がしずみそうになり、急いでエレベーターに戻ろうとするが、間に合いそうもない。うさぎはともちゃんを家に送り店へ帰ろうとするが、ぎりぎりのところで間に合わず店の前に放り出されてしまう。結局色々な人に踏まれて汚くなってしまう。
しばらくしてともちゃんがやってくるがうさぎがいないので、窓を強く叩く。店の人が出てきて、うさぎをあげる代わりに、二度と店には来ないと約束する。
二人は幸せそうに一緒に家へ帰っていく。
幻想的で、夢と優しさにあふれた名作。
2023-06-09 08:20
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