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オリエンタリズム 下 [学術書]


オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)

オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1993/06/21
  • メディア: 文庫



『オリエンタリズム』を読み終わった。最近かなり疲れており、普通の本を読むのも億劫だったので、このような学術書が読めるのか、と初めは心配だったが文体的にかなり読みやすく、思っていたよりも速く読み終えられた。

p.17
「すべてのヨーロッパ人は、彼がオリエントについて言いうることに関して、必然的に人種差別主義者であり、帝国主義者であり、ほぼ全面的に自民族中心主義者であった、といってさしつかえない。」

p.75
「オリエントの人間は、何よりもまず東洋人であって、人間であることは二の次だった。」

p.279
「この地域(アラブ地域)には広汎な嗜好の画一化がおこっており、その象徴となっているのが、トランジスタやブルー・ジーンズ、コカ・コーラばかりでなく、合衆国のマス・メディアが提供し、大量のテレビ視聴者が考えもなしに消費する、オリエントに関する数々の文化的イメージである。~中略~西洋の市場経済とその消費志向のおかげで、市場の需要をみたすべく教育されたひとつの知識人階級が生み出されてきた(そして、現在なお加速度的に生まれつつある)ことを指摘できる。」

p329に、
「女性のみが女性の立場に立って、女性のためにものを書くことができ~」
という文章を読んだとき、上野千鶴子が「女性学」というものの説明をする時に同じようなことを言っていたなあ、と思い出した。

上に引用した文章の「オリエント(の人間)」を「女性」に変えて、ヨーロッパ(西洋)人などを「日本人の男たち」に変えて読むと、違和感なく読めてしまうことに気がつく。

オリエンタリズムにしても、女性に対するいろいろな見方にしても、結局そこに自分の方がえらく、相手を従属させる、人間としてみない、という視点があるのだろうなあと思うのだ。

あとがき等にもあるように、いろいろな点で不備な点や曲解がある作品なのかもしれないが、問題提起の書としては非常に優れた作品だと感じた。
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