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シルエット [文学 日本 島本理生]


シルエット (角川文庫)

シルエット (角川文庫)

  • 作者: 島本 理生
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: 文庫



1. シルエット
2. 植物たちの呼吸
3. ヨル
の初期作品三作が収録されている。1は群像新人文学賞最優秀賞受賞作品らしい。

3を15歳、2を16歳、1を17歳で書いているらしい。性的な描写もあり、実際体験しないと書けないのでは?と思わせる感じなので、どんな高校生だったんだろうと想像してしまう。略歴を見ると、彼女の幼少期に父と母が離婚しているらしく、まだそんなには彼女の作陽を読んでわけではないが、父がいない設定の登場人物が多い気がする。

1は、男にだらしなかったせいで父親に刺された母の看病をする冠(かん)という元彼と、せっちゃんという大学生の不思議な雰囲気の今の彼を持つ、高校2年生の女の子が主人公。母親のせいで女の子と肉体的な接触をできなかった冠とうまくいかなくなり、2週間家出をし金持ちの医学部の男とひたすらセックスをし、現彼に出会った主人公。その今の彼との生活と冠との思い出を行ったり来たりしながら、雪や雨、夢などを挟みながら重層的に主人公の内面とその成長を描いていく。

この作者、「愛」というものにおいて、肉体と精神が非常に密接に絡み合っていて、どちらが先とかではなくどちらもあってはじめて「愛」というものが成り立つのだ、ということを各作品で訴えている気がする。とても繊細な文章で、ヒリヒリする感じ。好きな人はとても好きなのだろうとは思うのだが、私はやっぱり読むのに結構パワーがいる類の小説だ。
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