ピアノ・ソナタ第六番 ヘ長調

評価
★★★★★☆☆☆☆☆

第一楽章　若干鄙びた主題で始まる。リズムや、右手の音と左手の音を若干ずらして演奏する箇所があるなど、メロディというよりは、他の様々な要素を楽しみながら聞ける楽章。
第二楽章　すごくくら～い重い音楽で始まるのかと思いきや、突然長調になって明るくなったりする。とはいえ、終始陰鬱な雰囲気が支配している楽章。
第三楽章　すごく単純な音を組み合わせて曲を作っている。ソナタ形式らしい。弦楽四重奏曲に近いような音作りな気がする。

第一楽章でも書いたが、メロディが美しいといったことを楽しむというよりは、ベートーヴェンの様々な音楽的実験を楽しむ曲といえる。素晴らしいといえる曲ではないが、いろんな意味で楽しめる曲ではある。

ピアノ・ソナタ第五番 ハ短調

評価
★★★★★★☆☆☆☆

三楽章構成で、第二楽章が一番長いという珍しい曲。

第一楽章　ベートーヴェン得意のハ短調ということもあり、悲劇的なとても印象的な主題。第二主題も美しい。6分強と短い曲なので、全体としてとても締まった感じがある。
第二楽章　美しい緩徐楽章。8分強と長い曲なのだが、全く長さを感じないくらいメロディも美しく、構成も面白い。
第三楽章　ソナタ形式をとっているとともに、最終楽章らしからぬスケルツォ的な楽想を持っており、対位法的な側面もある。最後もとてもあっさり終わる。

やはり他の素晴らしいソナタほどの名曲とは言えないが、それなりに聴いていて面白い曲と言える。

ピアノ・ソナタ第四番 変ホ長調

評価
★★★★★☆☆☆☆☆

第一楽章　結構普通な感じで、すっと始まる。あまり印象的なメロディもなく終わる。若干長い。
第二楽章　こちらもそこまで面白くない感じの陰鬱な緩徐楽章。途中非常に美しいメロディが一瞬現れる。
第三楽章　こちらもあまり印象的ではない陰鬱な楽章。
第四楽章　今までのつまらなさを吹っ飛ばす素晴らしい楽章。何でもない始まり方をするが、途中非常に劇的になり、感情が爆発する。最後はその感情もおさまり、非常に穏やかに終わる。

最終楽章がなければ、非常に陰鬱でつまらない曲だが、最終楽章があることで、それなりに聞ける曲になっている気がする。

ピアノ・ソナタ第三番 ハ長調

評価
★★★★★★☆☆☆☆

第一楽章　ハ長調らしい堂々とした始まり。第二主題の短調の美しいメロディも印象的。
第二楽章　非常に穏やかなアダージョ楽章。第二主題が暗く悲しげであるけれどもどこか優しさをもった不思議な感じをもったメロディで結構引きこまれる。
第三楽章　短いスケルツォ楽章。対位法的な構成をしながらもそこまで厳めしい感じではないのが良い。
第四楽章　結構あっさりとした感じの出だしで始まる。流れるようなメロディが流れ、どんどん盛り上がていく。途中讃美歌のような非常に美しいメロディが入ってくるあたりも良い。

全体的に、絶妙な感じで長調と短調が行ったり来たりし、飽きずに聴ける。

ピアノ・ソナタ第二番 イ長調

評価
★★★★☆☆☆☆☆☆

第一楽章　悪くはない主題ではあるが、インパクトのあるものでもない。若干長く飽きる。
第二楽章　ゆったりとした淡々とした楽章。こちらも若干飽きる。
第三楽章　スケルツォ楽章。鳥の鳴き声を模したようなかわいらしい始まり。段々熱を帯びてくる。
第四楽章　表情を色々変える面白い楽章ではあるがやはりもう一歩か。

悪くはないのかもしれないが、あまり目立った部分もなく若干退屈な曲。

ピアノ・ソナタ第一番 へ短調

評価
★★★★★★☆☆☆☆

記念すべきピアノ・ソナタの第一番。

第一楽章　とてもシンプルな短調の優しい旋律で始まる。流れるような第二主題も美しい。緊張感のある展開部も良くできている。
第二主題　とてもリラックスしたアダージョ楽章。こちらもシンプルなメロディが展開される。

第三楽章　楽章としてはメヌエットということだが、とても踊れる感じはしない。暗い感じではあるのだが、やさしさがある。

第四楽章　かの有名な「月光」の第三楽章に似た始まりをする。あそこまで激しくはないが、今までのやさしさあふれる1～3楽章に比べて、非常に密度の濃い激情にあふれた楽章。中間部も非常に美しい。最後はありったけの想いをぶつけるかのように激しく終わる。

全体的にシンプルなやさしさあふれる曲となっている。初期作品にしてはよくできた佳曲といえる。