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Take This [Jazz Jacky Terrasson]


Take This

Take This

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Blue Note Records
  • 発売日: 2015/02/24
  • メディア: CD



Jacky Terrassonのアルバムを発売当日に買ったのはこのCDがもしかしたら始めたかもしれない。カサンドラ・ウイルソンとの共演盤をもしかしたら発売日近くに買ったかもしれないが、なんにしろ久しぶりである。とはいえ、海外からの輸入盤なので、発売日(2月24日だったか)より3日ほど遅れてうちには届いた。それからI-podに入れ聴き込むつもりだったのだが、何故か9曲目以降うまく入らず、あまり聴き込むことができないままここまで来てしまった。
あとでこまかく曲解説はするが、家に到着後始めて聴いたときは、これがJackyのCDなのか、と思うほど、今までのものとは雰囲気が違っていて、違和感があったのだが、聴きこむうちにかなりこころに響くようになってきた。CD内の解説にもあったのだが、Jacky自身常に新しいものを求めて挑戦していくアーティストらしく、それが顕著に出たアルバムなのではと思う(特にはじめの4曲)。ボーカルが入っているとは言え、基本的には去年日本に来た時と同じメンバー(だと思う)。このボーカルとパーカッションがかなりいい味を出している。ReachやPushとは違った佳作だと思う。

1. Kiff
いきなりボーカルのスキャット(というのか?専門的な言葉はよくわからない)とシンセの音から始まる。この出だしに先ほど書いた違和感がかなりあったのだが、このボーカリストこのアルバムでかなり重要な役割を演じており、彼がいることでアルバムの出来がかなりあがっている。ボーカルが抜けた、ピアノソロはゆったりとしていて広がりがり、奥行も感じさせる素晴らしいものだ。乾いた感じのドラムと情感たっぷりのピアノの対比が非常に美しい。そして再びボーカルが入ってきてはじめのメロディを奏で終わる。

2. Un Poco Loco
1曲目とはうって変わり、スピード感のある激しい曲。Jackyがピアノを弾きまくっており、パーカッションが素晴らしい反応を見せている。1分目くらいから始まるFender Rhodesの早弾きが凄まじい。去年ライブで観たとき程のスピードはない(目の前でみたらすごいのかもしれない)が、それでも凄まじいプレイが楽しめる。時々現れるパーカションソロも素晴らしい。

3. Take Five(Take1)
おそらくボーカルの人が声でリズムを取りながらドラムっぽい音を出しているのだと思う(Human Beatbox)のだが、これが本当に素晴らしい。単調なリズムをひたすら声で出し続けているのだがこれは実はかなり高度なテクニックがいるのではないのだろうか。このHuman Beatboxを引き立たせる素晴らしいバッキングをJackyは見せている。Jackyは誰かのバックに回ると、その人を立てる演奏をするので、私は彼のプレイが楽しめなくなってしまうのだが、ここではSly(Human Beatboxをしている人)を立てながら彼も素晴らしく独創的なおもしろい演奏を繰り広げている。最後は音が絞られていって終わる。

4. Come Together
このアルバムの白眉だろう。ピアノとボーカルだけでここまで広がりのある世界を作れるのかと思うほど素晴らしく厚みのあるサウンド。Beatlesの曲のカバーで、私はBeatlesのこの曲が対して好きではないのだが、このバージョンは素晴らしい。Slyは歌詞がある部分以外では、声でBass音を奏でているのだが、これが跳ねるような感じでピアノと非常にマッチしている。この二人だけでアルバム一枚作ったらもしかしたら素晴らしい傑作アルバムが出来るのでは、と思わせるほど素晴らしい。街角でこの二人が演奏したらさぞかし多くの人が足をとめて聴き入ってしまうだろう。原曲の雰囲気を最大限に生かしつつ二人の世界観をしっかり提示している。

5. Dance
ラテンの雰囲気が感じられる曲。出だしはピアノとパーカッションだけなのだが、ここでも音の広がりはすごい。途中から美しいメロディが入ってきて、SlyのHuman Beatboxとパーカッションが良い感じで絡んできて、すんなりと終わる。

6. Blue in Green
この曲はPiano, Bass, Drums, Percussionのカルテットで演奏している。非常にゆったりとしたJazz Barで流れているような曲。ベースとピアノの絡みが非常に美しい。ピアノの音も非常に潤った感じで、高音を1分45秒前後のところで連打するのだが、これが水が滴るような感じの音になっている。ワイングラスをピラミッド状に重ね、上から落とすとしたまで落ちていく感じか。短いが素晴らしく美しい曲。

7. November
私が求める(今まで求めていた)Jackyの音(メロディ、リズム、音色)が楽しめる。快活で美しいメロディ。彼が得意とするリズム(これが私には染み付いており、このリズムを聴くと体が自然に反応してしまう)、そして優しいながらもキレのある柔らかい音色。3分30秒くらいからのベースとの掛け合いも楽しげだ。美しいメロディに戻って終わる。

8. Take Five(Take2)
3曲目と同じ曲の違うバージョン。Fender Rhodesのゆったり、ねっとりとした音。暑苦しく寝苦しい夜を連想させる。ちょっと苦手。Fender RhodesからPianoに変わると若干爽やかな感じにはなるが、基本暑苦しい。

9. Maladie D'Amour
Cumba's Danceを彷彿とさせる感動的な曲。3分強の曲なのだが、いつまで聴いていたい曲だ。とにかく左手で複雑なリズムを弾きながら、よくここまでメロディアスに優しい音を右手が奏でられるな、と感心してしまう。メロディ、リズム、音色、ベースとパーカッションとのバランス、すべてが最高の曲だ。

10. Somebody That I used to know
「きらきら星」のようなメロディから入る。何とも言えない不思議な雰囲気。クレジットによるとすべてをJacky一人でやっているっぽい。かなり実験的な感じの曲だ。

11. Letting go
Jackyのオリジナル。ゆっくりとした、けだるい感じの曲。最後は優しく美しいピアノの音色で締めくくる。

VocalとPercussionがJackyの良い面を引き出している素晴らしい作品だ。若干ジャケットが残念な感じだが、Jackyの色々な面(新しい面も含めて)が楽しめる。ぜひ多くの人に聴いてもらいたい作品だ。

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