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Push [Jazz Jacky Terrasson]


Push

Push

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Concord Records
  • 発売日: 2010/04/27
  • メディア: CD



Jacky TerrassonのConcord移籍後の初めてのアルバム。前にも書いたが、このアルバムの前までのJackyは悪くはないが“素晴らしい”と言えるアルバムを出さなくなっていたので、発売されてもすぐに買うということはしないことが多くなっていた。このアルバムも発売されてから一年以上買わずにいた。おそらくこのアルバムを買わなかったら彼のアルバムを買うことは今後一切なかったかもしれないアルバムだ。
Amazonで、このアルバムの紹介している文を見て、買ってみようと思ったのだ。そのアルバム・レビューに「久しぶりに演りたいことを遠慮なく弾ききっている感じが伝わってくる。ここ最近のブルーノート作品には魅力のかけらもなくなっていたので、移籍は大成功だったのではないか。」と書かれていたのを見て、自分の感じていたことと近いものがあったので、このアルバムは良いのでは、と考え買うに至った。

聴き始めたときは、まあ確かに少しは良いが、傑作というほどでもないか、と考えていたのだが、i-podに入れ、通勤中に聴き込んでいたところ、はまってしまった。初期"Jacky Terrason""Reach"に匹敵する大傑作だと思う。特に一曲目は彼の全作品の中で最も好きな曲の中の一曲になった。

1曲目:Gaux Girl
どう読むのか、どういう意味なのかはわからない。出だしは2~3作前の作品に近いおしゃれな感じ。日曜の朝、昼過ぎにかかると気分がすっきりするような感じだ。ということでこのアルバムもこの流れなのかと思うと一気に雰囲気が変わってくる。3分過ぎからだんだんストリングスがかぶさってきて、3分20秒あたりから50秒あたりまでの曲の雰囲気は最高だ。彼が生み出した音楽の中でベストな作りなのではないだろうか。私は生楽器以外の音が鳴るJackyの曲はあまり好きではないのだが、この曲のこの部分に関しては許せてしまう。というか、ストリングスが入ることでこの曲を大傑作に変えているのだ。そして出だしのメロディに戻り静かに曲は終わる。
2曲目:Beat It / Body and Soul
マイケル・ジャクソンの曲とほかの作品を合体させた曲。例のようにどこがBeat Itなのかイマイチわからないが、出だしのガラスのカチャカチャしたような音が緊張感を醸し出し、ピアノが強いタッチで印象的なメロディを奏でる。ドラムの乾いた音が、ピアノの硬い音と実にマッチしている。この曲を通して高い緊張感を維持した状態で演奏が続けられる。こちらも傑作だ。
3曲目:Ruby My Dear
ハーモニカが参加した、ゆっくりとした曲。前曲のあとだけに非常に印象的な作品。Jackyのピアノのタッチも優しく深い。夜のバーで流れていそうな曲だ。本当にこういう曲でのかれのタッチは素晴らしい。
4曲目:Beat Bop
速い曲。この曲でもドラムとピアノの息がぴったりだ。Jackyの声がかすかに聞こえる。初めと最後がCumba's Danceに非常に似た雰囲気の曲。こうしたリズム感がJackyは染み付いているのだろう。非常に上手い。
5曲目:Round Midnight
3曲目同様セロニアス・モンクのスローな曲。Beat Bopをスローなこの2曲で挟むことにより、4曲目を際立った名曲にさせていると言えるだろう。
6曲目:Morning
Jackyのオリジナル作品。Saxがゲスト参加している。何拍子の曲なのかイマイチわからない。とってもJazzyな雰囲気を持った曲。
7曲目:My Church
こちらもJackyのオリジナル。ゆったりとした作品だ。タイトルに込めた意味はわからないが、Churchということなので「私の安らぎの場所」というような意味合いの作品なのだろうか。本当に心安らぐ天国的な作品だ。彼の作曲した名バラードの一つ。
8曲目:Say Yeah
みんなで楽しげに歌っている曲。Jackyの新境地と言える作品。本当に楽しんで音楽を作り上げている様子が伝わってくる。
9曲目:Youd be so nice to come home to
ベース・ソロから始まる曲。まあこの曲は可もなく不可もなくといった感じか。
10曲目:Carry Me Away
Jackyのオリジナル。アルバムのラストを飾るしっとりとした名バラード。本当に美しい。7曲目同様名バラードの一つ。
11曲目:O Cafe, O Soleil
私は勝手にアンコールだと思っている。Say Yeahと同じように彼らの楽しんでいる様子がひしひしと伝わってくる。

このアルバムの成功のポイントはBassとDrumが素晴らしいことだと思う。苗字が二人ともWilliamということなのでこのふたりは兄弟なのだろうか。とにかく3人の息がぴったり。固定メンバーでアルバム一枚を作るとコンセプトもまとまり、良いものになるのだろうか。
本当に久しぶりの大傑作アルバムだ。

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