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夕鶴・彦一ばなし [文学 日本 Classic]


夕鶴・彦市ばなし 他二篇―木下順二戯曲選〈2〉 (岩波文庫)

夕鶴・彦市ばなし 他二篇―木下順二戯曲選〈2〉 (岩波文庫)

  • 作者: 木下 順二
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/08/16
  • メディア: 文庫



木下順二戯曲選Ⅱ『夕鶴・彦一ばなし』を読んだ。
「彦一ばなし」はとんちの効いたお話で面白かった。
「夕鶴」は、さすが木下順二という感じだった。助けられた鶴が助けた人に恩返しをする、という話を、資本主義批判の作品に見事にしたて上げていた。「金」のためではなく行動する人の言葉は理解できるが、「金」のために行動する人の言葉は理解できない、という設定はとても面白かった。
「山脈(やまなみ)」は、太平洋戦争末期、自分の思いのままに行動した女性を描いた作品。イプセンの『人形の家』にも通ずるような作品。実際旧い家庭制度に縛られながらも自分の思いのままに行動した女性は少なくはないのだろうが、文学作品で取り上げられたり、実際そういった話が表に出ることは少ない。そういった意味でも貴重な作品と言える。
最後の「暗い花火」は綿密すぎていまいちよくわからなかった。戦後の知的な肉体労働者の苦悩、満州から帰ってきた人々の苦悩、労働組合などを描いた作品なのだろうが、理解しきれなかった。

それなりに面白い作品群だった。この本は、岩波文庫で現在「品切れ重版未定」となっており、私はネットの古本で探したのだが、こうした良本をぜひ市場にもっと出回らせてもらいたい。
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