ヴィルヘルム・テル [文学 ドイツ]
シラーという作家は、ヴィクトル・ユゴー同様、オペラでその作品が取り上げられることが多く、ずっと気になる作家だった。彼の作品は、岩波文庫のカタログには入っているものの、品切重版未定作品が多く、中々手に入らない。
一年前だったか、『群盗』が復刊されすぐに買った。すさまじく面白いというものでもなかったが、それなりに楽しめた。それより数年前、『ヴァレンシュタイン』という作品も復刊されたときも、ベートーヴェンのかの名作ピアノ・ソナタ「ワレンシュタイン」と関係があるのかと思い、買ってよんだ。結果ベートーヴェンとは無関係であり、結構複雑でわかりづらいところもあったがそれなりに楽しめた。
ユゴーと違い、作品がすごく長いわけではないので、その物語世界にどっぷりつかる感じではないので、満足感がものすごくあるわけではないが、読む読む作品何らかの得るものがある。なので今回の『ヴィルヘルム・テル』も、当然復刊されてすぐ購入した。しかもあの有名な、子供の頭の上の林檎を矢で射落とす場面が入っているこの作品。とても楽しみに読んだ。
が、林檎の場面も、テルが、頭の上の林檎を射落とす賭けを承諾するまではかなり綿密に描かれているのだが、射落とす場面はいとも簡単に終わってしまう。しかもスイスの英雄とされるテルの、英雄性がそこまで伝わってこなかった。
これも『群盗』同様、つまらなくはないが、すごく面白い作品ではなかった。もうシラーは良いかな、と思う一方、『たくみと恋』『マリア・ストゥアルト』等が復刊されたら即座に買ってしまうのだろう。
2017-04-22 12:37
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