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学問のすすめ [哲学書]


学問のすゝめ (岩波文庫)

学問のすゝめ (岩波文庫)

  • 作者: 福沢 諭吉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1978/01/01
  • メディア: 文庫



『学問のすすめ』を読み終わった。
「天は人の上に人を作らず~」という冒頭部分しか知らず、今回初めて全編を通じ読んでみた。
世にはたくさんの現代語訳が出ており、明治時代に出版された本なのに何故こんなに現代語訳が出ているのだろうか、と思っていたが、理由がわかった。平安時代に書かれた古文のような読みづらさはないが、やはり読みづらく、結構読み進めるのに時間がかかった。

内容は素晴らしかった。
まずは、人間は平等に生まれてくるのだが、どこから差が出てくるのかというと、それは学ぶか、学ばないか、だから学ぼう、といった感じからスタートする。
そして、その当時としては少数派であったであろう、男女同権も訴える。
さらに白眉なのは、国家というものは、人民と国家を運営するひとたちで成り立っており、人民は税金を払うことで、自分達を保護してもらい、運営側はお金を頂くことで、人民を保護しており、平等の関係性なのだ、ということを主張する。さらに、一人ひとりが意識を持って社会にコミットしていかないと、国家というものは崩壊する、ということも説く。
他にも、法律を重視すべきこと、世界的な視点で自分達の立ち位置を確認すること、西洋文明を無批判に礼賛することは、自国の文明を無批判に礼賛することと変わらず、すべての事象を客観的に冷静に批判的に見ることが必要と説く。

すべてが現代にも通じるものであり、現代においてもまだその批判的意味合いを失っていないことに悲しさを感じる。これはプラトンなどの書を読んでいても常に感じることであり、だからこそ古典なのだろうが、なぜか悲しい。人間(集団)の心というものは進歩していかないのだろうか。

とても良い本なので、福沢諭吉の論をしっかりと理解するという意味で、とりあえずは現代語訳で読むことをお勧めする。
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