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武士道 [哲学書]


武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

  • 作者: 新渡戸 稲造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1938/10/15
  • メディア: 文庫



『武士道』を読み終わった。
基本的には、想像していた通りの本だった。
孔子、プラトン(ソクラテス)、アーノルド、そして当然キリスト教に強い影響を受けているんだろうなあ、というのがよくわかる一冊だった。

印象的だった箇所を数箇所

p.35
「知識はこれを学ぶ者の心に同化せられ、その品性に現れる時においてのみ、真に知識となる~。知的専門家は機械であると考えられた。知識そのものは道徳的感情に従属するものと考えられた。~中略~知識はそれ自体を目的として求むべきではなく、叡智獲得の手段として求むべきであるとなした。」
当然のことが書かれているのだが、これは当然のことではない。学問が進歩した今のほうが当てはまる言葉であり、ウェーバーの「精神なき専門人」を彷彿とさせる。

p.89
「かくのごとく金銭と金銭欲とを力めて無視したるにより、武士道は金銭に基づく凡百の弊害から久しく自由であることをえた。これは我が国の公吏が久しく腐敗から自由であった事実を説明する十分なる理由である。しかしああ!現代における拝金思想の増大何ぞそれ速かなるや。」
そしてその拝金思想は現代まで連綿と続いている。

前にも書いたと思うが、何千年前のプラトンの思想が未だに古典思想として現代に読まれているのはすごいことだと思う。しかし、人間の心・社会がプラトンの考えたいたような方向に動いていたとしたら、現在、きっとプラトンの作品など顧みられることはないだろう。本当に人間の精神というものは進歩していかないのだなあ、とこの本を読み改めて思った。

最近古典を読むことが多いせいか、同じようなことをいつも思っている。
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