シュガータイム [文学 日本 小川洋子]
先日、電車でちょっと買い物に行ったとき、本を持っていくのを忘れてしまった。100mくらい歩いて気がついた。いつもであれば戻るところだが、あまりに暑い日だったので、戻るのも面倒だった。i-podに入っている文学作品でも聴きながら行こうと思っていたら、残念ながらi-podは電池切れ。正直行きの電車は苦痛でしょうがなかった。
帰りの電車で同じ思いはしたくないと思い、ブックオフに立ち寄り購入したのがこの本。
小川洋子作品は好きで色々と読んではいるが、そこまで興味を惹かれない作品は読んでいなかった。この『シュガータイム』もそこまで心惹かれていなかったので今まで読んでいなかったのだが、何も読まずボーッと過ごすよりは、と思い、ハズレのない小川洋子のこの作品を購入した。
突然過度な食欲を持ってしまった女子大生の日常と失恋を描く。突然過度の食欲を持ってしまった女子大生。その理由がわからないまま、日々の出来事が過ぎていく。背が伸びない弟が自分のそばに引っ越してきたこと、肉体関係をもたない恋人との日々、野球観戦、バイトでの出来事、友人との会話、一つ一つが小川洋子ならではの視線で描かれる。
結局過度な食欲は、彼との別れを感じ取った彼女の心の安定のために必要なものだったのではないだろうか。主人公になんとなく親近感を持ってしまった。そこには、過度なものがあっても、淡々と日々を過ごそうとする彼女の心に近さを感じたからなのだろうか。
彼女のほかの作品に比べると、そこまで胸に迫るものはなかったが、それなりには楽しめた。
2018-08-07 16:22
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