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釈迦 [文学 日本 Classic]


釈迦 (岩波文庫)

釈迦 (岩波文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 文庫



昨年買っていた『釈迦』をようやく読み終わった。
私は仏教系の学校で働いている。とはいえ、全く仏教に興味はないし、いい教えだとも思っていない。
坊主の同僚たちは欲にまみれていて、普通の人以上に道徳的に低い人ばかりだ。それは管理職も変わらない。

しかし、せっかく仏教の学校にいるので、少しは仏教に関する本もちょくちょく読んでいる。あの武者小路実篤が書いた小説『釈迦』であれば、きっと面白いであろう、さらに正統な感じであろうと思い購入した。

今まで釈迦の様々なエピソードは読んだり聴いたりして知ってはいたが、彼の生涯を描いた作品はなく、全体像がつかめなかった。が、この本は釈迦の誕生から死までをしっかりと時間軸で書いてくれており、重要なエピソードも満載でとても釈迦のことがよく分かり、ある程度全体像を掴むことが出来た。

この本の中で納得できない部分が数箇所あった。
一つ目(p.203)
阿那律という弟子があまりに疲れており、仏陀の説教中に居眠りしてしまったときに、そのことを仏陀が注意し、それからしばらくの間、阿那律は眠らなかった。これによって彼は失明してしまう。私
私は昔から体が弱く、どうしてもすぐに疲れて眠くなってしまう。これは生理現象であり、個人的にはしょうがないことだと思っている。映画や演劇を観ていても寝てしまうこともある。これは面白いかどうかなどとは無関係であることもある。相手の状況に鑑みることなく注意し、失明に至らしめさせてしまった仏陀。人間としてどうなのだろうか。

二つ目(p.344)
仏陀がもう少しで死にそうな時、弟子の阿難がどのように葬るべきかを訪ねたとき、仏陀は、結構豪華な葬り方を指示した。武者小路実篤はここで、「仏陀の自信と自覚が覗える。彼は自分の為に塔廟を求める男ではない。衆生の為に塔廟を求める男なのだ。」と書くが、真に悟った人間であれば、形ある権威がどれだけ人間に腐敗と厄罪を生み出すかをわかるはずだ。彼は結構様々な場面で師匠面する。しかし自分は偉いと思っている時点で偉くない。このへんで、所詮仏陀も人間なのだなあと感じてしまう。

仏陀の一生を手軽に知りたい人にはオススメ。

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