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獣人 上 [文学 フランス ゾラ]


獣人 (上巻) (岩波文庫)

獣人 (上巻) (岩波文庫)

  • 作者: エミール・ゾラ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/03/01
  • メディア: 文庫



ゾラの『獣人 上巻』を読み終わった。

居酒屋の主人公、ジェルヴェーズの子供たちの中の一人を描いたこの作品にも興味を持ち読み始めた。
ちなみにジェルヴェーズの子供たちを紹介しておきたい。

長男 クロード     『制作』主人公      画家
次男 ジャック     『獣人』主人公(登場人物?) 機関士
三男 エチエンヌ    『ジェルミナール』主人公 炭鉱労働者
長女 アンナ      『ナナ』主人公      高級娼婦

一応、母親の『居酒屋』はじめ、彼女の子供達の本はこれで全部読むことがになる。

はじめは非常にほのぼのとした雰囲気で始まる。真面目に鉄道会社で働いてきた中年男性ルゥボーが、ふとしたことから若い美しい妻をもらい、その妻とつかの間のパリを楽しむ様子が描かれている。仕事というのか、嘆願というのか、なんにしろ真面目な目的でパリに来たルゥボーと、それについてきて、パリでのショッピングを楽しむ妻セブリーヌのほのぼのとした夕食を楽しむ場面なのだが、これが本当に美しく楽しげに描かれており、若い妻をもらい何となくその愛情に不安を持っている夫の内面も非常にうまく描いている。

そんな、優しい場面が一転して修羅場と化す。優しく美しい妻が、実は育ての親と肉体関係を持っていたことが分かってしまうのだ。
そこから物語は、一気に暗くなっていく。

相変わらず一人一人の欲望や、心の中の醜い部分を徹底的に描きつくしており、読むのが嫌になってしまう部分もなくはないが、非常に緊張感に富んでおり面白い。
犯人が始めから分かっているサスペンスドラマ的な部分もありとても楽しめる。

最後がどうなるのか非常に楽しみである。 
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