オルレアンの少女 [文学 ドイツ]
数年前、いや十年近く前か・・・、DVDでチャイコフスキー作曲、『オルレアンの少女』を観た。その音楽の素晴らしさに感動した。解説を読むと、原作はシラーの『オルレアンの少女』とあった(他の作品も参考にしているらしいが)。
映像を見ると原作を読みたくなる私の性癖のため、この原作が欲しくてたまらなくなった。もちろん図書館等で借りて読めばよいのだが、本の収集癖もあるので、是が非でも手に入れたかった。が、もう岩波文庫版は品切れ重版未定状態。当時は、アマゾンやオークションで探す、などということを思ってもみなかったので、そのままほうっておいた。
昨年、ブックオフでこの本を発見。即購入。が、他に読むべき本がたまっており、積読状態。
そして、Mark TwainのPersonal Recollections of Joan of Arcを読むのと平行して読むことに。
マーク・トウェインのほうは、分厚い小説ということもあり、子供時代から有名な裁判まで、様々なエピソードを交えながら、結構詳細にジャンヌの人となりを描いてくれている。が、こちらのシラー作品は、戯曲ということもあり、話も結構飛び飛びで、ジャンヌが出てくる場面も少なく、あまりジャンヌ・ダルクを描いた作品とは言いがたい。
しかも、ジャンヌは実の父親に「魔女」と名指しされ、フランス陣営から追放され、最後も戦場で致命傷を受けて死ぬ、ということになっている。しかもテーマが、地上の愛 vs. 天上の愛、のような感じになっており、天からの使命を与えられたのに、地上で恋をしてしまい、その恋に悩んだことで身の破滅を招くが最後は天に再び心を向け、エンディングを迎えるといった内容で、ジャンヌ・ダルクを描く際、そのテーマはないだろう、という流れになっている。
正直、シラー作品はそれなりに楽しんで読んできていたので、この作品もかなり期待していただけに、非常に残念だった。
2019-03-20 07:14
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