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マンフレッド [文学 イギリス]


マンフレッド (岩波文庫)

マンフレッド (岩波文庫)

  • 作者: バイロン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1960/03/05
  • メディア: 文庫



今年の2月、岩波書店から『マンフレッド』が復刊された。
チャイコフスキーの交響曲、シューマンの劇音楽がある、ということ以外、内容は全く知らなかったのだが、とにかく原作を読んでみたい欲望が強い私は、買わずにいられず買ってしまった。

100ページ強ということもあり、空いた時間でさっと読んでしまった。

内容は・・・。はじめは、ゲーテの『ファウスト』などと同じような感じで言葉が連ねられているだけで、正直なにを言っているのかわかりづらかった。が、読み進めるうちに段々と意味がわかってきて面白くなってきた。マンフレッドは、とにかく学問に邁進し、俗世の事柄に心煩わされることなく生きてきた。しかし、道ならぬ恋により、その恋人を失ってしまったことで、自分の内面に疑問を持つようになり、忘却・死を求めるようになり、最後は自分の思い通りの死を全うして終わる、という内容だと思う。

彼の行き方、自分の内面に関する葛藤、忘却を求める志向など、かなり共感できるところがあり、非常に面白かった。

最後に印象的なマンフレッドの台詞を紹介して終わりたい。

p.80
「およそ人を支配せんと欲するものは人に仕えねばなりませぬ。卑しい奴輩のあいだにあって力あるもんもたらんと欲すれば、おもねり、哀願し、二六時ちゅう眼をくばり、あらゆる場所に探りを入れ、虚偽の権化とならねばなりませぬ。大衆とはそういうものなのです。わたしは群れに交わることをさげすみました、たとえ首領になるにしてもー狼の群れのであろうと。獅子はひとりぼっちです。わたしもそうなのです」

この世で権力を得ようとすると、どうしても人におもねらなければならない。自分の意志を曲げねばならない。時の権力者に、大衆に媚びなければならない。それであれば一人であることを望む。ということであろう。非常に含蓄ある言葉である。

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