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フィエスコの叛乱 [文学 ドイツ]


フィエスコの叛乱 (1953年) (岩波文庫)

フィエスコの叛乱 (1953年) (岩波文庫)

  • 作者: シラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1953/06/15
  • メディア: 文庫



シラーは、戯曲を9作品しか書いていないらしい。その事実をこの本のあとがきを読んで始めて知った。

数えてみると、9作品中8作品はこれで読んだことになる。
1.群盗
2.たくみと恋
3.フィエスコの叛乱
4.ドン・カルロス
5.ヴァレンシュタイン
6.マリア・ストゥアルト
7.オルレアンの少女
8.メッシーナの花嫁
9.ヴィルヘルム・テル

この中で、圧倒的に有名なのは、1の『群盗』と9の『ヴィルヘルム・テル』であろう。しかし。どちらも展開が若干強引で、登場人物達の内面も細かく描写されておらずいまいちだった気がする。7の『オルレアンの少女』もジャンヌ・ダルクの本を色々読んでいるだけに、彼女の素晴らしい面を全く引き出していない気がしてもう一歩。5の『ヴァレンシュタイン』は悪くはないが非常に長く、印象が薄い。
2の『たくみと恋』4の『ドン・カルロス』6の『マリア・ストゥアルト』、特に4,6は圧倒的に面白かった。話の展開、登場人物の内面、共に無理がなく非常に流れもスムーズで、思想性も高く傑作だといえる。

そして今回の『フィエスコの叛乱』。
始めは登場人物の関係を整理するのに時間がかかったが、読んでいるうちに慣れてきて、一人一人の心の揺れもうまく描かれておりとても面白く読んでいた。あとがきにもあるように、シェイクスピアの『オテロ』並みの素晴らしさで、これもまた傑作か???と読み進めていた。

しかし、最後の展開が・・・。
色々なものが非常に強引で、情景が思い浮かべづらく、「何故そこでそのひとがそういう動きをするの?」という疑問の行動だらけ。正直、最後をシェイクスピアの悲劇のような形で無理やり終わらせようとして無理が出た感じになってしまっている。

もう少し結末をすっきり無理なく終わらせていたら、シラーの傑作となっていたであろう作品だけに非常に残念だ。

ちなみに私なりのシラーベスト3

1.ドン・カルロス
2.マリア・ストゥアルト
3.たくみと恋

こう考えると、全てオペラ化された作品だ。というより、シラー作品でオペラ化されていない作品は、『ヴァレンシュタイン』と『フィエスコの叛乱』、『メッシーナの花嫁』くらいか。ちなみにメッシーナの花嫁はシューマンが曲をつけているっぽい。
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