Anti-Intellectualism in American Life Part2 The Religion of the Heart [学術書]
Anti-Intellectualism in American Life
- 作者: Richard Hofstadter
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 1966/02/12
- メディア: ペーパーバック
Part2を読み終わった。
いよいよ本格的にアメリカの反知性主義の歴史を辿る。
題名の通りなのだが、アメリカはそもそも、信教の自由を求めて作られた国。もちろんその過程で原住民を追い出してきたのは間違いないが、その部分はここでは触れない。
始めのうちは、もちろん、ヨーロッパの知的な雰囲気を残しており、大学なども東海岸には多く建てられるのだが、段々と、教会なども建てられ、教会に所属するキリスト教信者というものがアメリカ国内で増加するにつれ、牧師のあり方が変わってくる。
ヨーロッパ的な、ラテン語・ギリシャ語を収め、広く哲学を学び、知的なエリート階級という牧師ではなく、人々の感情に訴える、わかりやすい説教を行う牧師が人気を博するようになるのだ。知性のある牧師は逆に、あまりにも形式ばっており、職業として福音を述べ伝えているだけであって本来の信仰とはかけ離れているとみなされるようになるのだ。
さらにいえば、段々と開拓も進み生活が安定してくると、リベラルで物事を批判的に見ることが出来る知的な人間達は、人々の生活を破壊するものとみなされるようになり、糾弾されるようになる。
これはまさに日本の現在の状況と重なるのではないか。人々はじっくり考えることをやめ、理性的に物事を判断できなくなり、感情に訴えるわかりやすい思想、自分をひっぱてくれる人間を求める。長い不況が続いているとはいえ、それなりに生活できる人々は革新的な考え方を嫌い、「他に選択肢がないから」という理由で、非理性的、暴力的、保守的な人間を選挙で選び続ける。
さまざまな意思決定はそのような知性のない人間に任せ、自分達は感情の赴くままに生活し、ひたすら刺激的なもの(SNS、インターネット、ゲーム、テレビ)を求め自分の全ての時間をそこに費やす。
この先、どのような展開になっていくのかは全く分からないが、現在のトランプ大統領を生んだアメリカ像が見えてきそうであると共に、日本の行く末も暗示しそうであるこの本、楽しみだ。
2019-09-17 07:13
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