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Anti-Intellectualism in American Life PartⅣ The Practical Culture [学術書]


Anti-Intellectualism in American Life

Anti-Intellectualism in American Life

  • 作者: Richard Hofstadter
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 1966/02/12
  • メディア: ペーパーバック



宗教的側面、政治的側面と見てきて、今回はもう少し一般的な側面からAnti-Intellectualismに関して見ている。

まずは、ビジネスに関わる人々の様子を述べる。当然、彼らは「お金を稼ぐ」という目標があり、そのためにはある程度の知識がないとならない。そういった意味で、Intellectualと結びついた時期もなくはないが、やはり実学志向が強くなり、Anti-Intellectualismを持つようになる。その流れで文学者にも言及される。文学者というとインテリなイメージがあり、AntiーAnti-Intellectualismの観があるが、アメリカ文学を代表するMark Twainを例に取り、彼も現実(実学)的な側面があったことを述べる。その一例としてA Connecticut Yankee in King Arthur's Courtが挙げられていたのが面白かった。今年の初めにちょうど読んだ本であり、アメリカの工場長(実学の最たるもの)が殴られたショックで中世ヨーロッパへ行ってしまい、そこでアメリカの現代技術を使って当時の人々を驚かせるというストーリーが確かにこのAnti-Intellectualismの流れにあっているなあと感じた。

ビジネスで成功した人々の中には、教養を大事にして、文化振興に力を尽くした人もいたが、総じてAnti-Intellectualismがその空気の中にはあった。それを説明した次の箇所が今の日本の雰囲気を表しているようで非常に恐ろしい。

p257上段
With all this there went a persistent hostility to formal education and a countervailing cult of experience
「こうした状況(教養を重視する人がいる一方)、教養教育に対する敵意は依然としてあり、それと反対の経験至上主義に対する信仰もずっと続いた。」

下段
education should be more "practical", and higher education ~ was useless as a background for business.
「教育はより“実学的”であるべきで、高等教育(大学教育)は、ビジネスをやる上では無意味だ」

これはまさに、数年前に起こった人文科学に対する日本の姿勢と変わらない。大学を単なる就職予備校と考え、ビジネスに役立たないものは排除しようとする姿勢。さらに上記二つのちょうど真ん中に位置する次の一言も恐ろしい。

education would only make workers discontented
「教育は労働者を不満分子にするだけだ。」

半共産(社会)主義、衆愚政治につながるこの言葉。実は日本の多くの権力者たちが持っている思想であり、多くの教育者も実は共有している思想である。権力を持っている人間は、多角的視野、批判的視野を持った行動的な人間を恐る。人々を本当の意味の教育から遠ざけ、無知なままにしておけば、権力者は自分たちのやっているむちゃくちゃな政治の問題点を突かれることはない。本当に今の日本の状況にぴったりくる描写だ。

この後、農業分野などにも言及されるが、基本はすべて同じ。教育(理論)は実践においては役に立たない。「教育=遊び」でありアメリカにおいて「教育⇔仕事」と捉えられてきた歴史があざやかに述べられている。本当に恐ろしい歴史だ。
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