SSブログ

A Pair of Blue Eyes [文学 イギリス Thomas Hardy]


A Pair of Blue Eyes Annotated

A Pair of Blue Eyes Annotated

  • 作者: Hardy, Thomas
  • 出版社/メーカー: Independently published
  • 発売日: 2020/07/12
  • メディア: ペーパーバック



Thomas Hardyの三作目を読み終わった。
この作品はいわゆる男性二人、女性一人の三角関係。
ヒロインが、Elfrideという牧師の娘
彼女の最初の恋人が、純粋な心を持つ建築士、Stephen Smith
彼女の後の恋人が、そのStephenが尊敬する先輩で、批評家・エッセイストのHenry Knight

StephenとElfrideは若い頃に知り合い、お互いすぐに惹かれ合う。身分違いの恋ということで、彼女の父親に強く反対され、駆け落ちまがいのところまで行くが、思いとどまり、Stephenが立派な男になりお金をたくさん稼げるようになるまでお互い待とうということになる。そして彼はインドに言って一旗揚げる。そのあいだもStephenはElfrideに心のこもった手紙を出し続け、稼いだお金を彼女に振り込んだりもする。
そんな中、偶然、Stephenの先輩Henryが、Elfrideの住む街へ行く。実はElfrideの書いた小説をこっぴどく批評したこともあった。そんなこともあり、初めはお互い敬遠していたが、段々と惹かれ合い、Stephenの命をElfrideが助けた時に、感情は一気に高まり、ふたりは婚約まで行く。

Elfrideはかつて、Stephenと駆け落ちした過去を、婚約者Henryに打ち明けられない。しかも、彼女は元婚約者Stephenにもちゃんと説明しようとしない。この中途半端な状態が一気に明るみに出て、HenryはElfrideの元から去る。

後半様々な人の色々な感情が対話に出てくるようになり、非常に面白くなっていく。

読んでいる途中で、Elfrideのあまりの自分勝手さに腹が立った。婚約者がいるにも関わらず、その婚約者とちゃんと話をする前に、別の人と婚約し、その婚約者に対してもちゃんと説明することなく、その所為で婚約が破綻した時も、泣き崩れるばかりの彼女に読んでいて腹が立った。美しいのはわかるし、子どもにも慕われるくらい良い人間なのだろうが、あまりにも男性に対して誠実さがない。これは当時の女性観や社会状況とは関係のない、古今東西普遍の心の問題であり、彼女に対して全く同情心が湧いてこない。彼女の最後(最後)の悲劇的な結末も全く可哀想に思えず、逆に、常に誠実であったStephenがこれにより返って救われたように思い、とても心がスッキリした。

『テス』の主人公テスは、自分の意志とは関係ない運命のせいで苦しんだが、このElfrideは自分の心の軽さ、男性に対する誠実さのなさが生んだ苦しみだったので、すごく独りよがりな気がした。

色々と書いたが、主人公Elfrideに対する怒りであり、物語としては非常に面白かった。
次作はHardyの傑作と言われている作品で、映画化もされているらしいので、楽しみだ。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。