エトワール! 8 白鳥たちのフェスティバル [文学 日本 児童書 青い鳥文庫]
エトワール! 8 白鳥たちのフェスティバル (講談社青い鳥文庫)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2020/12/15
- メディア: Kindle版
久しぶりに、『エトワール!』シリーズを読んだ。このシリーズは長男が大好きで、本当に何度も何度も暇さえあれば読んでいる。最新刊が、昨年の12月に出て、クリスマスプレゼントとして買ってあげたのだが、もうボロボロだ。
主人公含む、有村バレエスクールの4人が、コンクールで20位以内に入り、その20人で、夏に行われる野外バレエフェスで、バレエ『白鳥の湖』第二幕白鳥たちのコール・ド・バレエ(群舞)を踊ることとなる。そこで、主人公めいの学校の友だち水上麗華とも一緒になり、はじめはライバル的な感じだったのだが、このフェスの練習などを通じて段々と仲良くなる。
ここ最近の数冊は若干ダレ気味だったのだが、この巻は素晴らしく、結構感動的なシーンが多かった。
めいたちを指導する泉先生の印象的なセリフをいくつか紹介したい。
p. 235
「今の子は、動画でバレエを見て勉強したつもりになってる。」
中略
「大人もそう。バレエは舞台芸術なのだから、もっと劇場に足を運んで、生で、本物のバレエを観る感動を味わってほしいのよ。もちろん、それがかなわない人たちが動画でバレエを見られるのはすばらしいことだけど、バレエの道を志す我々が、それでいいと思ってはいけない。」
p.272
「白鳥たちの顔は同じじゃない。一羽ずつそれぞれ顔も個性もちがう。その白鳥たちがひとつになって飛び立つからこそ美しい。ひとりひとりがイキイキとソロのような完成された踊りをしてはじめて、すばらしいコール・ド・バレエになる。」
p.273
「誰にでも欠けている部分はあるのだから、努力が必要なのは当たり前。私はそれを指摘し、プロの意識を教えただけ。ここまで伸びたのは、あなた方自身の努力があったからです。」
中略
「大切なのは、結果より経験です。本番で成功したかどうかより、失敗を恐れずにチャレンジして練習してきた、その経験のほうが尊い。」
そして最後にめいの気づきを紹介したい。
p.270
「バレエスクールの発表会でも、舞台装置を設置する大道具さんや、舞台で使ういろいろなものを用意してくれる小道具さんや、舞台や踊りに合わせたライトを当ててくれる照明さんや、そのほかたくさんの人達が舞台裏で仕事をしているのを見てきた。でも、本番の踊りのことで頭がいっぱいで気づかなかった……大勢の人にささえられてわたしたちは舞台に立てるんだってことに。」
おそらく、今回のテーマは、様々な人が、自分の仕事を最大限に行おうとする一つ一つの努力によって、全体が成り立っているということなのだろう。それを『白鳥の湖』の数十分の舞台を作り上げるというストーリーを通して伝えるこの作品。素晴らしい。
めいと、憧れの透くんの距離もかなり縮まってきており、自作も楽しみだ。
2021-01-05 03:22
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