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春の窓 [文学 日本 安房直子]


春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/04
  • メディア: 文庫



『安房直子コレクション』第五巻で、「あるジャム屋の話」を読み、ぜひ手元に置いておきたいと思ったのだが、もう絶版になっていて、いろいろ調べていたら、この『春の窓』に収録されているとしり購入した一冊。結構多くの作品が既読だった。

1. 「黄色いスカーフ」
『花のにおう町』で既読。おばあさんが、黄色いスカーフによって、新たな自分に出会う話。
2. 「あるジャム屋の話」
一流企業をやめて、一人でジャム屋をはじめるがうまくいかなかったところを、鹿に助けられ、その鹿と結婚する話。最高に美しい話だ。
3. 「北風のわすれたハンカチ」
こちらは同名文庫に収録されている作品。北風の娘と悲しみに沈む熊が心通わせる話。これも大好きな作品だ。
4. 「日暮れの海の物語」
この本で初めて読んだ物語。カメに、「愛する人を助けてあげるお礼に、結婚すること」を約束させられた女の子の話。助けてあげた人は別の人と結婚してしまい、カメと結婚したくなくて、逃げ回り、最後は縫い物やのおばあさんのところに逃げ込み静かに暮らしていたが・・・。最後の結末がハッピーではないのだが、何となく心落ち着くのはなぜだろうか。
5. 「だれにも見えないベランダ」
『夢の果て』収録作品。これも大好きな作品。動物たちに愛される女性に、ベランダを作ってあげる大工さんの話。最後はとても素敵なハッピーエンド。
6. 「小さい金の針」
これもこの本で初めて読んだ物語。おばあさんとねずみが、金の針によって心通わす様子を描いた作品。ねずみによっておばあさんが、心を開放していく様子がとても良い。前向きになれる作品。
7. 「ほしのおはじき」
いじめを受け、ほんの出来心で悪い行為をしてしまった子が、柳の木によって心を取り戻す作品。黒さの中に、明るい光が指しているこれも美しい作品。
8. 「海からの電話」
ギターをカニに壊されてしまった男の人が、カニにそれを直してもらう物語。壊れたといっても弦を切られただけなので、ただ単に弦を取り替えれば良いだけな気もするのだ。悪い話ではないのだが、その変が気になってしまい、あまり物語に入り込めなかった。
9. 「天窓のある家」
こちらも『夢の果て』収録作品。自然な木の養分をもらうことによって、悩んでいた若者が心を取り戻し、前向きに生きられるようになる作品。どこか暗さがさすが、心暖かくなる最高の作品。
10. 「海からの贈り物」
『まほうをかけられた舌』収録作品。海ばあさんたちが怖くて、あまりいい気分になれないのでちょっと残念な作品
11.「春の窓」
『ひぐれのラッパ』収録作品。猫と画家の心の交流を描いた作品。猫によって、妻も見つけるとってもハッピーな作品。とても面白い。
12. 「ゆきひらのはなし」
こちらは未読作品だった。偕成社から絵本化されている作品。表紙の絵があまり魅力的ではないので読まなかったが、読んでみるととても良い話だった。「ゆきひら」は「おなべ」。お鍋によって心身共に疲れていたおばあさんが、前向きに生きられるようになる話。


全体的に前向きに終わる、ハッピーエンド作品が多く、既読作品が大半だったが、結構その多くがお気に入りの作品だったので、かなり楽しめた。


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