幼い子どものおはなし [文学 日本 松谷みよ子]
講談社から出ている、『松谷みよ子の本⑤幼い子への文学』に入っている「幼い子どものおはなし」の章を読み終わった。
「ふうちゃん」という女のコが主人公のお話が大部分を占めており、女の子の日常が優しい視点で描かれている。
「ふうちゃんとねずみ」では、大人が嫌がるねずみにご飯をあげてしまったり、
「ふうちゃんの大りょこう」では、飼い猫を追いかけてアメリカまで行ってしまったりと、大人では考えられないことをしてしまう子どもの行動が、写実的に描かれることもあれば、ファンタジー的に描かれることもあり、楽しく読めた。
他作品では
「おひさま どうしたの」という話は、「桃太郎」を現代版にアレンジしたような話の展開から、一気に現代文明批判に話しを持っていき物語を終わらせるという素晴らしい話になっている。
「まこちゃん しっているよ」という話も、掃除機をぞうさんに見立てて冒険をし、その冒険が終わるとともに、掃除機が壊れていたという「物が壊れて動かなくなる」ということに対する、物語的な説明を施しているのも子供にはたのしみやすい。
「ぞうとりんご」は子どものけんかを、収めるために、ぞうの素晴らしい行動を見せ、さらに一歩進んで、戦争中に犠牲になったぞうにまで思いをいたらせるような仕組みにしているのも素晴らしい。
とにかく、民話をベースにした、反戦思想を取り入れた素晴らしい物語が並んでいて良かった。
なんども読まれるべき作品群だと思う。
2021-05-16 09:05
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